義姉ー次女から久しぶりに電話が入った。
来週の平日、義父が目の検査をすることになったようで、その付き添いを探しているのだという。
三女は仕事だし、長女も次女も予定が入っている。義母は、だいぶ体も心もリハビリで良くなったとはいえ、付き添いをされる側でありする側ではない。
義父は、一人でも大丈夫と言っているそうだが、それでも心配なのだと私に訴える次女。
「カズから聞いたんだけど、今、パート週1なんだって?何曜日?」
「不定期なんで、ちょっと何曜日とは言えなくて。」
「でも、前もってならシフト交代とか頼めない?私、今週はママの病院付き添いしたし、来週はあいのコンクールの準備もしないとでいっぱいいっぱいなんだよね。」
「わかりました、調整してみます・・」
同居する娘に、近所に住む娘2人もいるのに。自分達の子どもが幼い頃は、育児やら家事やら散々世話になっていた癖に。長男の嫁というだけでその面倒な責務を負わされるのはなんだか釈然としない。
だが、年老いて丸くなった義父のことは嫌いではないので引き受けることにした。
それで電話が終わったかと思えば、むしろそっちが本題だったのではないかと思う話題。あいちゃんのこと。
地元ではちょっとした有名人なのだろうか?地元紙にまた掲載されたらしく、更にネットでも見ることが出来るということでわざわざそのお知らせだった。鼻息荒く、嬉しさを隠し切れない次女はまるで自分の果たせなかった夢を人生を娘に託しているのだろう。そしてそのプレッシャーに負けることなくむしろ期待以上の成果を出すあいちゃんは、今や義実家の中では希望の星だ。
「すごいですね!後で見てみます。カズヒロさんにも伝えておきます。」
「うん!そうして。ラインも送ったのに返信が無くって。あの子、最近忙しいの?」
「まあ、そうですね。仕事もバタバタしてて。」
「もうパパやママ達に負担掛けるようなことはやめてね。老人ホーム資金だって最近では心もとなくなってるって言ってたし。だからといってあの家を売るのはなしだからさ。」
胸が痛い。
だが、金を出してくれた義両親に言われるのは分かるけれど、次女に言われる筋合いは果たしてあるのだろうか。あいちゃんにはそれなりにお金が掛かると以前言っていたし、夫からなんとなくだが、義両親が学費を援助しているらしい話を聞いたこともある。
だがそれだって、彼女からしたら義妹に言われる筋合いはない話なのだけれど。
電話を切り、スマホであいちゃんを探そうかと思ったが、面倒臭くなりやめた。
血の繋がらない姪っ子に興味はないし、そもそも向こうは血の繋がった姪である我が子の近況すら尋ねて来なかったのだ。
自分の娘可愛さが一番で、周りが見えていない。あいちゃんになんの否もないけれど、生理的に義姉はやっぱり受け付けない。申し訳ないが、どうしても子どもの才能に翻弄され狂う母親にしか見えないのだ。
狂う母親
