時給=ランチ代

パスタ 仕事
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 久しぶりの出勤。
どんよりした気分で、だがなんとか3時間を終えた。
皆が休み明けということもあり、仕事はそれなりにたまっているものの、ぼんやりというかまだ軌道に乗っていない風で、米山さんですら何度も生あくびを堪えながら業務をしている様子が見て取れた。

昼のチャイムが鳴り、帰り支度をしていたところ、木佐貫さんが皆に向かって声を掛けた。

「今日、皆でランチに行きません?芝生さんも、午後に予定がなかったらどう?」

 有無を言わせないというか、勿論来るよね!?といった圧を感じ、つい首を縦に振ってしまった。
そこからは、近くのイタリアンへ。好きなパスタか肉料理or魚料理とパンー、サラダとスープとワンドリンクとプチデザートで税込み1500円と都内ではコスパが良いと人気の店だけれど、時給で働く私としては、1時間勤務した分のお金以上のランチなのだ。
なので、当初、彼女らとランチをする流れだったのを断り、次第に午前出勤シフトになったことでランチに誘われることもなかったのだが、今回はたまにのことだし必要経費と割り切ることにした。
ここで働き続ける為には、最低限の付き合いも必要だ。

 木佐貫さんから、盆休みに帰省した土産を貰った。米田さんと花山さんは旅行に行ったらしく、その土産をそれぞれ。私はまるで用意をしておらず肩身が狭かったのだが、一応、言い訳。

「色々いただいてすみません。今年、うちは受験なのでどこにも行ってないんですよ・・」


「いいのいいの。そうだよね、大変だよね、受験。うちはもうだいぶ昔って感じだけど、やっぱり大変だった~」


 花山さんが、それからは自分の息子自慢を始めた。早稲田卒で、大手コンサルに勤めている自慢の息子。
そこから、米田さんや木佐貫さんが途端に花山さんを「先輩ママ」扱いし、昨今の受験事情を熱心に聞き始めた。
私も最初の方こそ話を振られたけれど、受験生ということもあり、踏み込んだ質問は受けずに済んだ。
だがそれも、来年の春になれば土足でズカズカ踏み込まれるのだろうけれど。

 この日の稼ぎはそんな訳で2000円行かず。
そして彼女達からいただいたお土産をそのままという訳にもいかないので、何かの形で返さなくてはとぼんやり思う。

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