義母から常備菜のお礼の電話があった。
ようやく長引いていた風邪も治り、義両親ともに通常運転といったところのようだ。
電話口だと多少聞き取り辛いところはあるが、リハビリの成果だろう、それとも三女が休職していることで母として何とかせねばという気力なのか、寝た切りに近かった彼女はどこへやら、今や完全とはいかないけれど元気な頃の義母の面影が色濃くなりつつある。
「それでお礼が明日に届くはずだから、受け取ってちょうだいね。」
「そんな、お気遣いなく・・」
翌日、書留で現金が届いた。中身は1万円。
これを素直に受け取っても良いのか悩み、やはり一度は断ろうと電話をしたけれど繋がらない。
義父からいただいた時とはまた違い、義母からのそれはどこか抵抗感があり、夫に相談をしてみた。
「いいよ、貰っておけば。だって食材費かかってるだろう?生活費に回せばいいじゃん。」
当たり前のように言うけれど、素直に受け取って良いのだろうか。
確かに、冷蔵庫にあるものを使ったとはいえ、買い物したばかりのパンパンだったその中身はすっからかんになった。最近、スーパーで買い物をする度に最低でも5~6000円は掛かるので、言われてみれば納得出来るところもある。
なので、メールで丁重にお礼した。
ーお義母さん、お気遣いいただきありがとうございました。家にあるもので簡単に作ったものなのに申し訳ないです。次回からは気になさらずお願いします。
してあげる方、もらう方、どちらの立場に立っても気疲れする。
どうしても義実家の嫁としての立ち振る舞いに馴染めない。どれだけ時を経ても、私は他人なのだ。
有難く、この1万円で夫と子が喜ぶ料理を作ろう。義母にとっての息子と孫の為に還元すれば、少しの罪悪感は薄れるはずだ。

