子が入学式に着用するスーツを購入した。
どこで買うか、事前にカタログやチラシなど見て、デパートか紳士服屋かイオンかアパレルブランドか、あれこれ悩み、夫とも相談して無難な紳士服屋に決めた。
休日ということもあり、店内に入るとあちこちで子と同じ年頃の子どもとその親が店員と相談しながらスーツを選んでいた。
ぐるりと一巡する間もなく、店員が寄って来た。
一組の客に対して店員一人。今の時期、子連れでの来客は購入率90%といったところだろうし冷やかしではないことは明らか。なので対応も丁寧だ。
「ご入学用のスーツですね。おめでとうございます。」
まったくの他人から祝いの言葉を掛けられ、それでも心華やかな気分になる。どんな時でもおめでとうという言葉は心に沁みる。
「どのようなタイプのものをお探しですか?」
そう聞かれ、すぐにお得な価格帯のスーツに目が行く。フレッシャーズのスーツといってもピンキリで、価格帯は1万前後~3万前後といったところで、だが価格が上がるにつれそのデザイン性や生地の上質さが全然違う。私の中で予算は2万~3万で考えており、だが夫はこういう時にいつも良いものを選びたがる。勿論それは、嫁の私のものだったら例外なのだけれど・・
子は、女性ファッション誌とコラボしたスーツに興味を示した。正直、どれもこれも同じに見えているだろうが、広告やカタログの目玉的な感じで掲載されているスーツはなんだか洗練されて見える不思議。夫は生地の質を見て、ジャケットだけで3万くらいのものを手に取る。店員はいそいそと夫に近寄り、そのジャケットの良さを伝える。多少、多めにお金は用意して来たけれど、ジャケットだけで3万だと明らかに予算オーバー。
子が試着している間、店員から離れて夫を呼び予算オーバーだと伝えた。
だが夫は、
「就活でも使うんだからケチケチするなよ。カードで買うから、ちゃんとしたもの買ってやれよ。」
店員が振り返り、微笑む。
夫は、店員と目を合わせ、にやにやした。なんだか私の居心地が悪くなる。
何着か試着を繰り返し、ブラウスやバッグ、それに靴はもっと安いところで買う予定だったのに、店員に勧められるまま一式購入し、5万以上掛かってしまった。
店員は財布の紐を握っているのは誰かを悟ると、夫と子にばかり話し掛け、私は蚊帳の外。
あちこちでスーツを選ぶ親子連れを見れば、ほぼ母親に向かって話し掛ける店員ばかりなのに、一向に視線が合わない店員にモヤモヤした。
「あー、疲れた。制服と違って肩が凝ったわ。」
「そりゃ、そうだよ。あとは就活の時に体型が変わらないようにしないとな。」
「嫌な感じ―」
(笑)
父娘、仲良さげに歩く後ろでやはり蚊帳の外。
「ありがとうございましたー」
お直し代も更に5000円程かかり、6万近くいったのでは?
夫のカードからの引き落としだけれど、大丈夫?と思う。夫の口座は管理出来ていないので一抹の不安がよぎる。
情緒不安定気味の夫なので、気が大きくなったかと思えば暗く落ち込んでいたりの最近だから、お金の使い方も心配なのだ。それでもこれは無駄金ではない。先日のカットソーに比べたらそう思うことにする。
フレッシャーズ
娘
