ブラック企業

新宿 仕事
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 事務パート、たったの3時間勤務だけれど、新部長が来てからの空気が悪くて仕方がない。
そしてこの4月、米田さんや木佐貫さんは小学生の子どもを持つ母親。つまり、春の行事やその他諸々の事情で早退有給を取りたいようで、その諸届に部長が良く思っていないという噂が立っている。
係長が、米田さんにそんなことを言っているのを耳にした。

「さすがに、この日はまずいよ。せめて早退にしてもらえない?」

「でも、この日は休みたいって去年から伝えてますよね?」


 社員になれば、休みの申請をそんな前から伝えなくてはならないのだろうか。
それだけ、責任のある仕事を任されている、ということなのだろう。


「前の部長のようにはいかないんだよ。」


 お願いポーズを取る係長に、米田さんは鋭い視線を向けるけれど、じゃあお願いねと係長はそそくさ自席に戻って行った。


「やってらんない。」

「私も、今月は授業参観、諦めましたよ・・」


 木佐貫さんのところも大変そうだ。
私達パートは、そんな社員の愚痴など聞こえないように黙々とPC作業に集中する振りをする。


「ブラックだよ、こんなの。うちの子、学童もうやめたいって言いだしたんです。さすがに3年生で使ってる子も減って来て。遊ぶ友達もいないしもう鍵持たせようかなって・・」


「でも、物騒な事件もあるし一人で留守番とか怖いよね。」

「そうなんです。中高生ならまだしも、小学生のうちはちょっと。それに残業とかもあるし。夏休みとか考えるときついなって。」


 働く母親に、いまだ世の中は優しくない。
ホワイトなんて、一部の企業。多くのデフォルトはこうなのだろう。
私は子がもう育ったし、まだ親の介護というところまでいっていないし、いわば、持て余しているところもあって彼女達を前にちょっとした罪悪感を抱く。


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