塾のチラシに掲載される子ども達

新聞広告 生活
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 何気なく、新聞に挟まっていた広告を眺めていたら、以前子が通っていた集団塾のチラシが入っていた。
その中に、見たことのある顔。そう、スネ夫ママの息子K君が掲載されていたのだ。
昔から賢いと言われていた彼。誰もが知る有名私立高校への進学が決まったのだ。
偏差値で言えば70越えの都内付属高校。知らなくても良かった情報だし、むしろ知りたくもなかった。


 自信に満ちたその表情に、スネ夫ママの顔が重なる。
そっくり過ぎて、まるで彼女が合格を果たしたかのように錯覚し、複雑な心境に陥った。



個人情報保護の観点から

 誰が見ているかも分からないチラシに我が子を掲載するということ。
自慢の結果だし、むしろ皆に知って欲しくて掲載を同意しているのだろうけれど。
ちょっと微妙だなと思ってしまった。特に、女の子。
とびきり可愛いアイドル容姿を備えた女の子が掲載されていたら、学校前で待ち伏せてストーカーまがいのことをされたりしないだろうか、とか。
我が子は有名校に合格した訳ではないので、そういった掲載許可の連絡など無かったけれど。
それも、ほんの少しばかり寂しい気がしたりして。
塾サイドからしたら、貢献したのは金銭面のみだったのかなと。
プラス合格実績に貢献したら、塾によっては大学受験の塾代が安くなるなんて噂も聞いたことがある。
色々思うに、賢いと得するように出来ている世の中だ。


初めて感じたママ友なしのメリット


 あとは、勝手に嫉妬されたり。
親子共々仲良く同じ高校を目指していたとして、一人が合格、もう一人が不合格。
そして、合格した方のみ掲載されるーだとか。
色々と妄想してしまう。
 また、どこに受けたか内緒にしていたところで、こうしてチラシで知ってしまったり。
知っているのに、本人から聞いてない。
なので後に会った際、知らない振りをする不自然な状況。
 
 更にライングループなどに入っていたら、それこそ合格発表の日なんてどうなることやら。
メンバーの一人が「報告」の流れを作ってしまったのなら最後。
こちらからも何かしら「報告」しなくてはならない。
無言の圧力ー、合格していたのならまあ良しとして、失敗していたとしたら、本人は勿論のこと周りも大いに気を遣う。

 我が家はそんなママ付き合いもないので、ほっとしている。
幼稚園時代からこれまで、初めて、ママ友がいないメリットを感じた。



塾の合格実績サイトに無断掲載される

 ふと、子が通っていた個別塾のサイトを見てみた。
義姉から紹介された塾だったので、それこそ有名どころの偏差値70越えの高校に合格した子ども達の名前がバンバン掲載されていた。
顔写真ではなかったので、塾によっては色々なのだろう。
スネ夫ママの息子が通っていた塾のように、顔写真と出身中学と合格高校を掲載するところもあれば、さらりと高校名と人数のみの塾もある。
そのどちらも合格実績ではあるけれど、やはり信ぴょうが高いのは、どうしたって顔写真や名前が入っている広告の方だ。
 
 子の合格した高校名は、義姉らが姪や甥を入れた高校とはあまりにもレベルが違う高校なので、隅っこの方に申し訳程度に小さく名前が掲載されていた。
勿論、名前は掲載されていない。
塾にとっては名前を掲載する程の学校ではないからだろう。
人数もなく、本当にひっそりと。
こちらから頼んだ訳でもないのだから、そんな風に気を遣ってくれなくてもいいのにーなんて、性格の悪い私は思う。

 高校受験は、子ども以上に親ー特に母親がナイーブになるのかもしれない。
受験中も、受験後も然り。



高校受験の塾と大学受験の塾は変えるかどうか

 結論から言うと、我が家はいったん退塾の流れをとった。
子も勉強に疲れ切っていたし、新生活に慣れることを優先したのだ。

有名大学を受験するのなら、そんな悠長なことなど言ってられないのかもしれないし、夫はこのまま塾に通い続けてもいいと子に伝えていたけれど、子がNOサインを出したのだった。

「しばらく、好きなことをしたい。やりたいこととか、あるから。」

「何がしたいの?」

「うん、まあね、色々と。」


 言葉は濁していたけれど、高校生活で何かやりたいことがあるという我が子。
それによっては、進学の選択はないのかもしれないし、今はまだ未知の世界だ。
 
 私は4年制大学進学に憧れながらも、学力も無ければ経済的にも厳しかったことで、今は既に存在してもいない無名短大に通い、何のスキルを得ることもなく社会に出てしまった。
昔でいう、一般企業のお茶汲みOL、しかも社員ではなく契約の。その後も職歴は長く続かず、有期雇用の非正規であちこち様々な職場を転々としていた。
学歴があったのなら―少しは人生違っていたかも。そんな風に、仕事を変えるたびに思って来たし、それは今でも続いている。

 こんな私のように、40過ぎても学歴コンプレックスを抱えた人生を送って欲しくはない。
履歴書に、自信を持った学歴を書いて欲しい。
 
 勿論、目的をもって短大に進み、充実した人生を送る者もいれば、目的もなく4年制大学に通い、無駄にプライドだけ引っ提げて就職も失敗してニートという人生を送る者もいるだろうけれど。

とにかく、どうしたって後悔してしまうことが多い人生。それを最小限にとどめて欲しいと思う親心なのだ。


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