部長交代

オフィス 仕事
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 辞令を前に、新部長が今の部長に挨拶をしにやって来た。
それまでざわついていたフロアが、一瞬にしてぴりつく。

「お疲れ様です!!」

「お疲れ様です!!」

 え?こんな体育会系でしたか?といった感じに、社員達が席から立ち上がり挨拶の声。
米田さんや木佐貫さんも立ち上がり挨拶をするものだから、声は出さないもののパートの私達も彼らに倣って立ち上がりお辞儀をする。


部長らは表向きは和気藹々といった感じで、そのまま連れ立って喫煙スペースへ。
2人がいなくなった途端、フロアはいつもの空気に戻ったかと思えば、皆がいっせいにざわざわと声を立てる。


「あー、嫌だ嫌だ、本当に憂鬱!」

「とうとうですね。やりにくくなりますよ~」


 見た目も怖い。相撲取りのように太り、背も高い。そして強面。目は細く、つり上がっている。鼻はでかく唇は薄い。なんだか意地悪そうな顔。実際、ネチネチ系らしい。細かいことで有名で、ちょっとしたどうでもいいミスも指摘する。特に、事務方の米田さんは部長と組んで仕事をすることも多いので尚更のこと憂鬱そうだった。

私は直接かかわることはないかもしれないが、回り回っての影響はあるだろう。
柔和で冗談も通じる今の部長とは真逆、さすがの花山さんの媚びも彼の前では通用しなさそうだ。

「あの人、無理~顔がまず受け付けないです~」

 早速、花山さんがこぼす。だがそれを咎める人はいない。皆、彼のことが苦手なのだろう。

「あの人の部署のパート、なかなか続かないって聞きましたよ。」

 黒川さんが珍しく噂話をもちかける。
それに花山さんが乗る。つい私も彼女達の話に耳を傾ける。

「それって、うちらも直接あの人から嫌な目に合うってことだよね?」

 私が心の中で思っていたことを言葉に出す花山さん。
心中穏やかではない。

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