N恵からラインが来た昨夜、GWはがっつり10連休で、しかも夫方の実家には子ども達を連れて夫だけが泊りで出掛けているという。
実は急なお誘いで、伯母さんと私の母、それに私達でホテルランチでも行かないかというものだった。
ーここのアフタヌーンティー!職場の子と前に行って良かったんだよね。
N恵が行きたいと言っているホテルのHPが転送され、一人当たり税込みだと7000円超えることが分かった。
ここで、経済格差をまざまざと突き付けられる。
彼女は親の分は出すと言っていたので、必然的に私が母の分を出さなくてはならないだろう。
ランチだけでは飽き足らず、その後もお茶やなんだで掛かるだろうから、一日でものすごい出費。
母の日も控えているし、歯医者の予約があるからと嘘を言い、断った。
「え~!予約、キャンセルしてよ。久しぶりに4人で会おうよ。子ども達も学校だし、こんなチャンスなかなかないのに。」
無邪気に彼女はそう言うけれど、たまったもんじゃない。
N恵の親孝行っぷりを目の前で披露され、私はまた見えないプレッシャーに苦しくなるだけ。
楽しい時間だと思っているのはN恵と伯母だけで、私と実母の間には何とも言えない溝が深まるだけ。
母は、隣の芝生を羨ましがり、私はそんな母の様子に打ちのめされる。
もう、自分の生活でいっぱいなのにたくさんなのだ。
「仕事は?決まった?」
「うん、一応。」
「どんな仕事?またIT系?」
「ううん、普通の事務だよ。」
「社員?」
「ううん、パート。」
「え?まだ扶養内?あ、自営だからあんま関係ないか。花子ちゃんもう大きいんだからもっと働けばいいのに。」
ズカズカと土足で触れられたくない部分に踏み込まれるが、従姉妹なのでカチンとしつつも遣り過ごせる。生意気な妹がいたらこんな感じなのかなーと。
なんだかんだ、友達がいない私にとってN恵は今後、孤独な老後を迎える私にとっての一筋の光となるかもしれないのだ。
「でも、職場で事務は私一人だから、全部やらないとで。カズヒロさんの仕事手伝ってるから、そっちの事務仕事もしないとだしね。ダブルワークだからパートっていっても大変だよ。」
「あぁそうか。社長夫人だもんね。むしろそっちがメインだったよね。むしろパートは副業か。すごいな、稼ぐね!」
実際は、大赤字っぽい自営。手伝いといっても雑用だけでバイト扱いになった吉田さんにいまだ事務仕事は頼っている現状。私には、やはり経理やその他諸々のことはさっぱりなのだ。
その後は、N恵が近況という名の愚痴を語り始めた。
主に、姪っ子関連の学校や保護者同士の揉め事等。
私からしたら、今になれば懐かしく思えるようないざこざ話に、相槌と少しのアドバイス。
高校生の子どもがいる私は、もうそれだけで子育ての先輩扱いなのだ。
電話を終えて、久しぶりに家族以外ーといっても血の繋がりがあるので家族なのかもしれないけれど、N恵と雑談したことでリフレッシュになった。
日々のストレスは、一人でふらっとどこかに出掛けることでも、誰かとこうして雑談することでも発散出来る。