夫婦二人三脚

二人三脚
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 夫の事務所へ久しぶりに出向いた。
正直、日々のことで疲れ果てていたので朝の6時起きは辛く、また子の昼食も作り置きがてら二人分の弁当作り。
専業の頃は、夫の弁当のおかずは5種類以上でしかも冷食無しだった。
今では最初こそ文句を言っていた夫だけれど、冷食が入っていてもちょっと嫌そうな顔をするくらい。
先日、子の弁当が冷食だらけだと言われて切れた私の気持ちを汲んでくれたのだと思いたい。

まだぐうすか寝てる子を残し、夫と車で事務所へ。
中に入ると、なんだか空気が重くるしい。暑くも寒くもないのにどよんとしていた。
窓をすべて開けて、換気。外からの風が入って来たことによって少しは部屋の中が明るくなった気がした。


「今日、犬塚さんは?」

 
 尋ねるチャンスー。だが、夫は首を横に振るだけ。
一体どうなっているのか?彼はこのまま辞めてしまうのか?


「まさか、辞めたりしないよね?」


 私の問いに、夫は鼻をフンと鳴らすだけ。
ここずっと、仕事か休みの日は資格スクールへ通う夫は疲れ果てている。
夫婦で、心身ともに疲れ果てているのだ。

夫婦の意味を考える。
この関係を半永久的に続けるのであれば、こんな時こそ支え合うべきだと。
夫が私を頼るのは珍しいことだ。いつだって馬鹿にされ相手にされなかった私。対等ではなかった私。
だが今は、求められている。
勿論、吉田さんのようなスキルも知識も機転の良さもないけれど、それでも何かしら役に立つだろうと思われたのだ。


せっせと事務所内の掃除をした。
男だけだからだったか、畳まれていない空っぽの段ボールやペットポトルなどのゴミの山。
書類もあちこち散乱している。郵便は、封の空いていないものがDMも含めると何十通も山になっており、それを開封して仕訳するだけでも半日がかりになりそうだ。
一応夫の指示の元、私の出来ることをした。

昼は、2人で持参した弁当を黙々と食べた。
会話は、殆ど無かった。
夫はイヤホンで資格スクールの勉強をしながら食べ、私はスマホで動画を観ながら食べた。
しかし、こんな時に私達は「家族」なんだなと思う。
この沈黙が気にならなかった。これが他人だったら、私は相手のことが気になって動画なんて集中出来なかっただろう。

午後、吉田さんから遠隔操作で作業を教えて貰った。
以前と違うのは、彼女の言うことが一発で理解出来たということ。
要するに、スムーズに事が進んだ。
3時間は掛かるだろうと夫も踏んでいた作業が2時間で終わった。
今のパートで鍛えられたのだ。その成果が、パート先ではなくこんなところで出たことに何とも言えない気持ちになった。

子からラインで友達と夕飯を食べて来てもいいか?とあったのでOKした。
夫にそれを伝えると、私達もたまには外で食べて帰ろうということになり、帰りにトンカツ屋に寄った。
夫はビールを飲みたそうにしていたけれど、免許が無い私を前に我慢をし、代わりにご飯を大盛にしてガツガツ男子高校生のように搔き込んでいた。
私も久しぶりに食欲が湧いて、全部食べきれないかもーと思っていたヒレカツ定食を残すことなく平らげた。

こんな毎日。
もしも、私が夫の仕事を手伝うことになり、夫婦でやっていくことになったのならー
淡々としているけれど、ある種、平和な日々なのかもしれないと思う私がいた。



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