夫婦の会話

結婚指輪
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 夫にシフトが週2になったことを伝えた。
隠していてもいずればれるし、夫婦で久しぶりに晩酌しており、酒に酔っていたこともあり勢いで。
なかなかゆっくり膝を突き合わせて会話をすることのない私達。
だが、その時が来たら来たで、不穏な空気になるのも私達夫婦の形。


「え?社員登用の話はどうなったの?」


 夫の中で、私はいずれ正社員になれると過信していたらしく、だからこそこのパートを始めてから家事の手抜きなど色々思うところはあっても、なるべく口にしないようにしていたというのだ。

私が社員になることで夫の自営がたとえ立ち行かなくなったとして、子を扶養に入れることも出来る。
そういう「保険」が夫は欲しかったのだろう。なので、そのアテが外れたことに憤りを感じているようだった。

「それで今後どうするんだ?もっと条件のいい仕事に変えた方がいいんじゃないのか?」


 以前から、夫は私に扶養外で働いて欲しいと訴えていた。
子の手も離れたのだから、家庭での時間的拘束は少なくなる。そして、土日も無理して家にいなくてもいいと言う。
私はそれでも、まだ子には大学受験という大仕事が残っているし、子が在宅の時間、働きに出ることに抵抗がある。
過保護かもしれないけれど、大事な時だと思っている。
しかしそんなのは建前で、本音は社員なんて無理な話だと思っている。
ようやく見付けたパートの仕事すらロクにこなせない人間が社員なんてお門違い。どう自分を高く見積もっても、正社員で稼ぐ道はいばらの道だ。

「せめて10万以上は稼いで欲しいんだよ。家計任せたんだ、俺の言うこと分かるだろう?」


 互いに、ゆっくり酔いが醒めて行く。
分かっている。自分の老後のことばかり考えていたけれど、まずは目先。子の大学資金。
それが心もとない現状。奨学金?そんなものはNG。
夫はいざとなれば義実家を頼るようなことを匂わせつつも、それは本当に最後の砦。
甘ったれ末っ子長男でも、プライドはある。子どもの一人、大学まで行かせられないなんて現状を親兄弟に知られたくない。
奨学金だって、借りるのに保証人が要るのだ。それを頼むのに親戚の印を借りなければならない。それがどんなにみっともなく惨めなものか。


「だから結局パートはいいように使われるんだよ。もっと時給の高い派遣とか登録した方が良かったんだよ。」


 実は、年明けに発表された試験の結果が不合格だった夫。
自分自身に対しての自信喪失と、なかなか軌道に乗らない自営の不安や苛立、その矛先はいつだって近くにいる伴侶に向かう。

「4月までに、どうにかしてくれよ。ダブルワークでもなんでもいいから、10万は稼いで欲しい。扶養内とかあなた、関係無いんだから。」


 ダブルワークでもう一つの仕事を探すのなら、いっそのこと今の仕事を辞めて、新たに割の良いところでシフト多めに働いた方が良さそうだ。
そろそろ求人が多く出る時期。
方向転換のタイミングなのかもしれない。





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