花山さんが来なくなってから、米田さんや木佐貫さんから直接仕事を振られることが多くなり、そのどれもこれもが期待に応えられず、彼女達を苛つかせているのが分かる。
昨日はとうとう激怒された。
午後から研修だった米田さんは、バタバタと木佐貫さんと私に引継ぎをして社外に出たのだけれど。
木佐貫さんのお子さんが体調不良で学校からの呼び出し。
慌てて私に彼女がする予定だった業務の説明をし、昼過ぎに退社してしまった。
「これとこれ、今日中に回答して返信して。途中までやったんだけど、Bファイルに入ってるから見てみて。分からなかったら電話して。」
今日中の仕事は米田さんからも振られており、その時点でオーバーワークだと思ったけれど断れなかった。
一人取り残され、優先順位を考えたけれど、焦りなのか作業効率がだだ下がり。
あっちに手を付け、こっちに手を付け、あれーこれはどうだったっけ?どこまでやったっけ?さっき何してたっけ?状態。
その間に電話が鳴れば、男性社員は絶対取らないので私が取らなければならないし。
木佐貫さんから指示された業務も、あのバタバタの中の説明で何一つ分からなかったのが本音。
だが、お子さんが体調不良で大変な時に電話なんて出来る?自分でどうにかするしかない。
定時になり、米田さんからの仕事はなんとか終え、木佐貫さんからの仕事は中途半端。
分からなかったというか、出来なかった。
そして、それが大目玉を食らうことになった。
「電話してって言いましたよね!?なんでそのまま放置するんですか!?」
「お子さんが具合悪い中、電話したら悪いかなと思って・・」
「そういう気遣い要らないですから!私は分からなければ電話してって言いましたよね!?」
取引先もカンカンに怒っているということで、部長と米田さんが朝一で謝罪に行ったと聞いた。
私のミス?
なら、私があの時電話したとして、彼女は病気のお子さんを家に置いて仕事に来ただろうか。
それは正しいこと?
頭がぐちゃぐちゃになり、涙が出て来た。
良かれと思いしたことが、仇となる。
「言われたことだけしてくれたらいいから。」
少しして、米田さんから言われた。
なんだか、何もかも投げ出したい衝動に駆られている。