ママ友からワン友へ

トイプードル わたし
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 無職になり、なんだか手持無沙汰。
買い物も、これまでのように時間に追われずゆっくり出来る。
週2という少ないシフトであっても、縛られていたのだなと思う。
仕事が無い日は、やれ作り置きや買い出しや諸々。
それに合わせて、夫の仕事関係での銀行振り込みや郵便局での手続き等、何かしらやることが私の日々を忙しくしていた。

勿論、就活があるのでのんびりしている場合ではないけれど。
来週に控えた面接を前に、ちょっと小休止といったところ。
ブラブラと、雨上がりの公園をコンビニコーヒー片手に散歩しようと思い付いた。
少し早いお花見。
心に余裕が無かったので、ソロ活も最近は出来ていなかった。

 ぼーっとベンチに座りビールを飲んでいたら、噴水前に可愛らしいトイプードルを連れた女性。
年の功は、私より10歳程若い感じ。
スマホ片手にきょろきょろと辺りを見回している。


「こんにちはー!」


 すると、別方向から同じくトイプードル2匹を連れた女性。こちらの方は私と同世代のようだ。
3匹のトイプードルは、互いに尻尾を振り合い楽しそうに駆け回っている。


「こんにちは~」


 すると更に、今度は豆しばを連れた女性が。その横にはシュッとしたー犬種は何なのか犬に詳しくないので分からないけれど、見たことのある賢そうな大型犬を連れた老女。
犬は計5匹、女性は4人。犬は犬で威嚇し合うこともなく、小型犬はまるで幼い子ども達のように駆け回り、大型犬はどっしり落ち着いた様子で座り込む。
女性達は、所謂「ワン友」という奴のようだ。

ーえ?

 思わず、むせた。
スネ夫ママ?
あの2匹のトイプードルを連れた女性がスネ夫ママにそっくりだ。
ただキャップを被っているし眼鏡を掛けている。子ども連れではない単独だし、その他は知らない人だし確証は持てない。
逃げるように、残ったビールそのままに立ち上がりその場を去る。
去り際に、もう一度確認した。
やっぱり、スネ夫ママ?すっぴん隠しの眼鏡のせいではっきりとは分からない。
すると、彼女がこちらを見た。視線がばっちり合った瞬間、アイツだと確信した。
そういえば、この公園近くは彼女の自宅に近い。


 早足に自宅に戻るが、心臓はバクバク音を立てて静まらない。
なぜ、もう卒業して彼女とは無関係なのにこんなにも心をかき乱されるのか。
一種のトラウマだろうか?あの勝ち誇ったかのような視線。過去の嫌な出来事がフラッシュバックする。あの頃の記憶がぶわっと蘇り、気分が悪くなる。
穏やかに過ごしていた午後だったのに、水を差された。
少しして落ち着くと、今度は別の感情がわく。なんだか、ムカつく。
ママ友付き合いは、子どもが高校生にでもなれば一部例外を除いては疎遠になっていくと聞く。
仕事復帰したりでまた新たなコミュニティが出来る。
ペットがいれば、子育てが終わりそういった付き合いが終わったとしても似たようなー、今度はもっと気楽な、子どものことでマウントを取り合う必要もないコミュニティが出来る。
ママ友付き合いもうまくやっていた彼女のことだから、ワン友付き合いーそして老人になったら孫を介したババ友付き合いだとか、その時々のコミュニティ内で楽しくやっていけるのだろう。
ただ、彼女に対しては羨ましい気持ちよりも妬みの気持ちが強く、やっぱり嫌いな人間への感情は、何年経っても関わることがなくなってもネガティブなままなのだ。





 


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