10年前の家計簿

電卓 生活
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 生活費が掛かり過ぎる最近。
私もパート代がいまいちなので、来月のやり繰り費をもう少し上げて欲しいと夫に頼んだ。

「あなたが出来るって言うから、全部任せたのに。結局、俺が管理してた方が回ったんじゃないの?3万が4万になって、5万になって・・今では7万だろう?あなたのパート代を合わせたら十分過ぎると思うんだけど。家賃や光熱費、塾代は引き落しだし・・」

そう返されることを前提で、準備していたものがある。
10年前の家計簿と、今年の家計簿だ。
10年前のものは、夫に提出を求められてたこともあり、レシートもきちんと添付されていた。

「見て、これ。10年前とでは物価が違うの。食費だって、3万円以内だったけど、物価の違いだけじゃなくて花子が成長して食べるようにもなったから。」


 口で伝えるよりもそれは効果的だった。
なんていったって、レシートの内訳で一目瞭然。鮭の切り身が100円程だったのに、今では400円越え。秋刀魚なんてもう何年も買っていない。調味料や日用品、お菓子などの嗜好品の値上がりには目を見張るものがある。

「医療費も、それなりに掛かるの。矯正代や皮膚科、それに、花子も年頃だから美容院代も来月は要るし。」


 あくまでも、私が娯楽に使っている訳ではないことを強調する。
雑費も、夏用の古びたシーツや枕カバーも替えたいし、だましだまし使っているスイッチが入ったり入らなかったりの掃除機だって買い換えたい。今は、スイッチが本気で入らない時には箒を使って掃いているのだ。


 夫はため息をつきつつも、了承してくれた。
私だって、出来るなら夫が提示する金額でやり繰りし、貯金に回したい。
それが出来れば苦労もしない。


「そういえば、あなた、今月のパート代はいくらだったの?」


 そう聞かれ、それについての答えというか言い訳を準備していなかったことに気付く。
夫の深いため息が、私の耳奥でこだました。


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