オフィス街を颯爽と歩く人々の流れについていけず、おどおどしながら目的地に向かった。
座って出来る仕事に拘り続け、書類選考落ち。諦めモードに入っていたところ。
一通のメールには、件名「面接日程のご案内」とあり、頭から水を浴びたように目が覚めた。
とんとん拍子に面接へ。
ここずっと、書類を送れど不採用メールばかりだったので信じられない気持ち。
その企業は高層ビルの中にあり、エントランスもまるでホテル。
こんなところで働くなんてーと怖気づく。
惣菜や清掃パートとは違い、集まる人の服装も雰囲気も違い過ぎて腰が引けた。
WEB系の会社なのだけれど、求人にあった仕事内容は「データ入力と簡単な雑用」とあり、しかも「シニア歓迎」とあったのが心強い。
緊張しながら、面接会場へ。
面接前に、企業情報も頭に叩き込んでいた。
代表取締役の年齢が、私と同じ年。
社員の年齢層が若い気がして気後れしつつも、手あたり次第応募して折角引っ掛かった企業なのだから、もしかしたらーと期待が募る。
面接では、業務内容と今回募集したパートの仕事内容を更に具体的に説明された。
自己紹介も求められ、予め話そうと決めていたことー、本当に採用されたかったので自営の夫の仕事についても軽く触れた。
実績として、PC仕事が出来る風に思われた方が有利に働くと思ったからだ。
すると面接官が、
「ご主人の会社のお手伝いは、今後はされないんですか?」
「業務が立て込んでいる時は事務作業をしたりもしますが・・専従者ではないので。」
「そうですか。」
あくまでも、お手伝い。
それに、年間を通じ半年以上従事する予定もない。
パートが決まるまでの繋ぎ。
どうせ、私がいたっていなくたって代わらない。
夫いわく、誰にでも出来る仕事だと言うのだから、いざとなれば夫がすればいいのだ。
この回答に、面接官は少し不思議そうな表情を見せたが、それ以上踏み込んでは来なかった。
そして、具体的な話も。
通勤手当が出ないということや、扶養範囲で働くのかどうかとか、業務的に繁忙期とそうでない時があるので、シフトについて柔軟な対応が求められることもあるが、その点は大丈夫かーなど。
また、今回私のような非正規を雇うのが初めてということで、私以外は全員社員だということ。
従業員数が少ないのは企業案内で知ってはいたけれど、まさかバイトが一人もいないなんてーと少々不安な気持ちになったのも事実。
面接が終わり、これまでとは違う手応えのようなものを感じた。
まずは面接時間ー。
短くも長くもない、丁度良い時間。15分程度だろうか?
そして、具体的な業務の話やいつから出社可能か?
これまで断られて来た企業は、いつから出勤出来るかについて聞いてくることがなかった。
だいたい、一週間前後に採用の結果を出しますーとそれきり的な。
今回は、締めの言葉が前向きに取れるような、そんな感じだったのだ。
もし決まればー
あれこれ妄想が膨らむ。
ただ、あまりにも社内の雰囲気がお洒落過ぎていて、今の私に似つかわしくなかった。
服装については、自由。
カジュアル過ぎないものでということ。
面接帰り、ちらっと働いている人をみたら、今時のオフィスカジュアルという感じ。
それに、全体的に若い世代が多いように見えた。
採用されれば、初期費用がまあ掛かるなーと思ったけれど、今はそんなことを気にせず結果をただ待つのみだ。