月曜、トップバッター

窓 仕事
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 クリニックの面接では、院長と女性が一人。
女性は、看護師なのか事務員なのか、白衣の上にカーディガンを羽織っており分からなかったけれど、ベテランな雰囲気だった。
基本的などこの面接でも聞かれるようなことに対し答えた後、クリニック側から何点か募集要項に明確に記載されていなかった内容が伝えられた。
シフトは週5日で殆どフルということ、平日に一日休みはあるが、土曜は出勤必須ということだ。
いずれは、ここでうまくいくのなら事務パートは辞めてこの仕事だけに絞りたい。
時給も今のところより全然良いし、月収もフルタイムなら15万以上いくかもー
明るい未来がチラっと見えた。
ただ、急にはシフトチェンジ出来ない。


「今、働いているところに退職を伝えたとしても、すぐに週5出るのは引継ぎなどあるかもしれないので厳しいです。退職日が決定しないと何とも言えなくて・・」


「勿論、それは大丈夫ですよ。退職まではアルバイトという形でご都合の良い曜日に入って貰って、そこで仕事を覚えて下されば。」


 にこにこ顔で院長が答える。小児科医師だけあって、威圧感もないし優しい雰囲気。
ここで働きたい、そう思う。


「それから・・受付ということでの採用なんですけどね、ちょっと特殊な機械というか普通のパソコンとは違うシステムを覚えて貰わないとならないんですがね。それは大丈夫そうですか?」


「はい、頑張ります!」


「それから・・休憩時間が2時間程度あるんですね。その時間は時給が出ないので申し訳ありませんが・・」


「・・はぁ。」


 突如、カミングアウトされた気分。
2時間の休憩は長すぎやしないか。
だが、クリニックなど病院関連は確かに昼が終わり、3時頃から午後の診察だった気がする。
8時半~17時半の勤怠で、間に2時間の休憩。そもそもどこで休憩するのだろう?
この小さなクリニックの中に、2時間もリラックス出来そうな場所があるとは思えない。
また、周辺はこれまでのオフィス街と違い住宅街のど真ん中といった感じなので、ふらっとカフェに立ち寄ったりビルのテナントを覗いたりといった時間潰しの場所も無さそうだった。
女性が、私の困惑した表情に気付いたのか、

「休憩部屋がクリニック内にあるので、私達スタッフはそこでお昼を食べたり仮眠を取ったりしていますよ。」


 詳細を教えてくれた。
その女性もとても柔らかな物腰で、この病院が大人気なのが分かるくらい面接する2人からは人柄の良さがにじみ出ていた。


 
「そうなんですね。休憩部屋があるのは助かります!」


 私も好意的に返す。
ここで働きたい、いや、ここが運命の場所かも。
何度そう思って来ただろう、そんなことは忘れ、私はここで働く自分をイメージしては胸が熱くなった。


 面接の結果は、来週中ということ。
今週は他の面接もまだ控えているとのことだった。
月曜、トップバッターだったか・・これは不利かも。
最後の面接を終える頃、果たして彼らの心に私が残り続けられるかといったら自信が無い。
でも、やり切ったと思う。
そうして、私は自分があそこで働くイメトレを今からせっせとこなしている。
面接結果が出るまで、ネットの病院受付仕事の体験記~的な話を、隅から隅まで読み込むのだった。

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