男ってやつは、女よりも体調不良による耐性が無い。
夫を病院へ連れて行き、検査の結果、インフルでもコロナでもなくただの風邪。
ほっとする反面、苛々が募る。
「ポカリ、もう無い。持って来て。」
「りんごが食べたい。」
「アイスノンがもう生温い。」
「うどんは食べたくない、おじやがいい。」
「体中が痛いから湿布を貼ってくれ。」
「ティッシュが無い!新しいの持って来て!」
「ゴミ箱が一杯になったから、捨てて来て。」
「喉!喉が痛くてたまらない。この飴じゃないもっと刺激が少ないはちみつ飴買って来て。」
うんざりする。
子どもなら分かるけれど、大の大人。
熱をはかれば最高38.2℃で、37℃後半がだいたいのところ。
薬を飲み、水分を取ったらあとはゆっくり寝ていれば治るような風邪なのに、日中はともかく夜中も起こされる。
しまいには事務パートを休んでくれと言い出した。
「え?まさか明日仕事行くの?パートなのに?パートはこういう時に休めるのが特権なんじゃないの?」
何度も言うが、子どもなら分かる。
子はもう高校生だが、以前、救急車で運ばれたこともあったので熱が出れば留守にすることは出来ない。
「午前だけだし、週2しか出てないのに休み辛いよ。」
「いやいや、あなたを必要としてれば週5フルで出てくれって頼むでしょ。都合良く使われるのも俺は納得いかないよ。」
行かないでーとは言わないけれど、こういう時に休まないのは足元を見られているとでも言いたげだ。うだうだ言う夫を前に、無理して仕事に行ったら行ったで、帰宅後に嫌味のオンパレードが待っていると思うと途端に面倒になった。
「分かった、休む。」
夫は満足気に頷く。
職場には朝一で連絡。勿論、子どもが体調不良と伝えた。
それでも電話を取った木佐貫さんは、え?っという感じだった。
彼女は体調不良の小学生の子どもを置いて出勤したことがあるので、高校生の子どもなら少々の体調不良なら留守番など出来るはずだと思うだろう。
「昨夜、急に発熱しまして。学校で感染病が流行っていますしもしかしたらということもあって。これから検査に病院へ連れて行かないとならないので。申し訳ありません。」
「そうですか、分かりました。」
夫が風邪なので休みますーなんて素直に伝えたらどんなリアクションだろうか。
なんだか本当のことを言いたくなる。
そして、そのリアクションをそのまま夫に伝えたい。
これで満足ですか?私はあなたのナイチンゲールですからと。
専属ナース
