金曜、職場であんなに嫌なことがあった午前中は、本当にバタバタだった。
開店時間にマックに行くと、ずらーっと既に長蛇の列。
まるで、遊園地のアトラクション並みではないか。
そして、並ぶ列には大人ばかり。子どもは学校だったりで代わりに親が買いに来たのだろう。
よぼよぼのお爺さんもいて、孫の為に駆り出されたのだろうか。
開店し、レジはバタバタ。
今日、バイトに当たった子はきっとハズレだろう。開店から5分で殺伐とした空気が漂っている。
3つのレジの前、どれもハッピーセットがてんこもり。お一人4つまでの通り、4箱のちいかわ箱が詰まれていた。
私は結局ハッピーセットを二つ買うことにした。4箱買わないとコンプリート出来ないし、それは無理。
3箱買って食べきれずにおもちゃがかぶる未来より、食べきれる量で、おもちゃがかぶっても仕方がないと諦められる境界線、それが二つ。
私の前列の女性が、携帯でぎゃんぎゃん騒いでいる。内容も筒抜け。
「じゃあ、OO店なら買えるかも!それが無理なら××店行ってみて。」
こんな時こそ、ウーバーを頼むのが賢い選択なのかも。
逆に、ウーバーのリュックを背負った人達はうんざりした表情をしている。
赤ちゃんが泣いている。母親があやしながらも列に並ぶ。きっと、上の子の為に並んでいるのだろう。
転売目的の人もこの中にはいるのかもしれないが、ここまで人気で売り切れ続出のニュースで、それそのものにそれ程価値はなくとも、なんだかそれがとても貴重なものに思えて何が何でも手に入れたくなるから不思議だ。
みんな、見事に4つ買っている。これを逃したら、もう手に入らないんだなとなんだか妙な気持ちになる。
そして、いよいよ、私の番。
子が欲しがっているハチワレのフォトフレーム。それが当たりますようにと念をかけてオーダーしようと口から出た言葉。
「ハッピーセット、ちいかわの4つ下さい。」
自分でも、口走った瞬間、「えぇ!!??」となった。
だがもう後戻り出来なかった。会計の段階で、「やば!」となったけど、後ろに並ぶ人達の手前、取り消しなんて出来ない。
少し冷静を取り戻し、サイドメニューはすべてポテトではなく枝豆コーンを三つ。ジュースはパックの牛乳にした。
大きなマックの袋に入れられたちいかわの箱。それを手にし、心が満たされた。
自宅に大急ぎで戻ると、もう正午。午後から仕事なので、大急ぎでハンバーガー2つとポテトを食べる。
残りのハンバーガーは子のおやつに。一つ余るかもしれないが、それは後で考えよう。
枝豆コーンは夕食のサラダに乗せて、牛乳は珈琲を淹れた時に使えるしパックなので保存可能。
そして、子の部屋の机の上にちいかわの箱を開封せず置いてから仕事へ。
結果、子はものすごく喜んだ。
ラインで、
ーママ、コンプじゃん!ありがとう~
嬉しそうなメッセージに、仕事で嫌なことがありムカムカしていた心が和んだ。
それにしても、2000円払いゲットしたちいかわグッズ。
普通に2000円払い、ちいかわ専門店で何か買った方がクオリティの高いものが手に入れられたことだろう。分かっていながら、大衆の波に飲まれてしまう、意志の弱い私なのだ。