YOSOMONO

疎外感 家族
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 義実家訪問の度に、自分がよそ者だと感じる。
義兄らだって血縁ではないのだけれど、私や夫よりも先に結婚し子どもを作ったことで、義実家との揺るがない繋がりというか基盤のようなものが出来上がっている。
そもそも、夫がまだ学生時代から彼らは義姉の彼氏というポジションで義実家に出入りを繰り返していたのだから。
もう何度も何度もこの家に通っていても、食器棚にある箸を取り出すのですら義母や三女にお伺いを立て、恐る恐る手にしているのだ。

敬老の日は、寿司の出前と孫達がキッチンで手作り料理を振舞うというこれまでにないお祝い。
誰が言い出したのか、恐らく長女。社会人の姪も仕事が休みだったのでエプロンを付けいそいそとキッチンを行ったり来たりしていた。

「花子も、ほら手伝って。」

 私達が到着した頃には、既に他の従姉妹がわいわい料理をしており、男子チームはちょこちょこつまみ食いをしながら手伝っているのかいないのか、主に、一番上の姪が主導で唐揚げやポテトを揚げている。
あいちゃんは、ピザ生地にサラミやコーンなどのトッピングを甥と一緒にしていた。
そんな彼らに気後れしたのか、子は手伝うタイミングを見失い、部屋の隅でスマホをいじり始めた。

「家でちゃんと手伝いさせてる~?」

 次女が子や夫には聞こえないよう私にだけ嫌味を投げる。
なんだか躾がなってない親のレッテルを貼られたようでムカついた。

食事の準備が終わり、敬老のお祝いをした。
義両親は子どもや孫に囲まれて幸せそうだった。
義母は、リハビリの成果だろう、テニスなどの習い事は無理だけれど、近所の友達と連れ立って週に何回かはランチなどにも行っているようだ。
義父は義母がランチに行く日は、これまた近所の友達と囲碁をしたりと老人らしい余暇を楽しんでいるようだった。

 子は、一番上の姪と三女といつの間に楽しそうに会話をしていた。
最近の流行りのメイクについて聞かれ、得意分野なのでスマホ画面を見せながら、お勧めのコスメを教えている。あいちゃんも自然とその輪に混じり、昔のように従姉妹同士でキャピキャピしていた。
夫は義兄らと煙草をふかしながら、男の会話。自営のことについてまた色々聞かれているようだった。
義母と義姉らはワインで顔を真っ赤にしながら、私の知らない遠縁の親戚の近況について話している。


 ふと、周囲がモノクロになる。
誰も、私のことなんて気にも留めていない。
居てもいなくても、どうでもいい。楽しい時に居なくてもいい、そんな存在。
嫁なんて、人手が足りない困った時に求められる仕事が出来るかどうか、ただそれだけ。

 よそ者でいい。
無理に馴染まなくても、もうどうでもいい。
ただ、最低限の付き合い。呼ばれれば行くし、イベントもこれは行かなくてはーと思ったものだけ参加する。
ヘラヘラ愛想笑いする必要もない。
無駄に表情筋を酷使すれば、顔のたるみを助長させるだけだ。
喉がカラカラ。お茶が欲しい。勝手に義実家の冷蔵庫を開けることもお茶を頼むことも出来ない私は、持参して来た水筒をバッグから取り出しグビグビ飲んだ。



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