そういう人

チョコレート 仕事
スポンサーリンク

 事務パート中、何度も何度もスマホを気にしてしまい集中出来ない日。
先日受けた、小児科の受付事務。
面接の結果は、メールで来るのか電話なのか。一応、仕事中は電話を取れないこともあるけれど折り返しますと伝えておいた。
昼以降であれば、取れますとも伝えたのでまさか午前中にかかってくるとは思わなかったのだが、仕事中にスマホがブルブルと震えたのがパンツのポケット越しに伝わり、トイレへ。
深呼吸をしながら、予め登録していた病院の番号かと思えば、見知らぬ番号。
それでも、院長の個人携帯かもーと思い、折り返そうとするが、念のためその番号の検索をかけてみる。

「なんだ・・」


 思わず、トイレの中で息を吐くように声を出してしまう。
電気料金詐欺によく使われる番号だと分かり、気が抜ける。
ぼーっと、席に戻り、仕事の続きをするが、そんな時に限って午前中では到底終わりそうもない業務を振られる。
電話もなぜか多く、取り次いではまた別の電話、伝言メモ、そんなことをしているうちに、どこまでやっていたっけ?と辿ることで時間のロス。

「体調、悪いんですか?もう上がりですよね。残っているの引き受けますよ。」

 何度もトイレに行ったり来たりしては、ぼーっとしている私を気遣ってくれたのだろう、黒川さんが声を掛けてくれた。
なんだか申し訳ない気持ちになり、残った仕事をお願いするのと同時に引き出しに忍ばせているチョコを渡した。

「ありがとうございます、これ、美味しいですよね。」

 黒川さんの笑顔に、なんだかんだこの職場で1年経ち、私も馴染めているのかもーなんて思ったりもする。
仕事は相変わらず出来ないし、雑用ばかり。同じパートの2人が社員らと難しい話をしていても理解出来ず愛想笑いで、それでも私のポジションはいつの間にか「そういう人だからしょうがない」的なものに成り下がっていて、それがズルいのかもしれないが心地良くもなっている。
しかしそれは、週1~程度の雇用形態だから許されていることで、花山さん達と同等の週3で9時~17時のシフト勤務では回らないし社員からのクレームも出てしまうこと、それくらいは馬鹿な私でも分かり切っている。


私がやりきれなかった業務を、黒川さんは午後にサクッと終わらせるんだろう。
そして、私はやっぱり「そういう人」として彼女の中で残念な存在となっていき、最終的には「可哀想な人」になる。
だから、優しくされるのだ。



スポンサーリンク
仕事
スポンサーリンク
シェアする
隣の芝生
タイトルとURLをコピーしました