仲良し三人組に憧れる。
一対一は気楽な反面、コミュニケーションに休みがない。
だが3人ならば、2人が盛り上がっている時にちょっと休憩出来たりするのが丁度いい。
女という生き物は、3人集まると厄介なことが多いけれど、その例外に当て嵌まれば楽しく心地良い関係を築けそうだと思う。
調子の良い日に限り、夕方にポスティングを再開した。
夕方といってもまだ日中のように明るいが、暦上は夏のピークを過ぎているからか、薄っすらと秋の気配を感じる時間。
ノルマを通常の半分くらいにして、無理のない範囲のチラシを前かごに入れて自転車を走らせる。
ルートは、ABCと私の中で決まっているのだけれど、一番短く坂もない楽なAルートでは、同じ時間帯に散歩をするお婆さん3人組を見掛ける。
心の中で、三婆ガラスと呼んでいる。
つばの広い帽子をかぶり、首にはそれぞれひんやりタオルやクールリングを巻き、ドリンクホルダーを下げて手ぶらで歩く3人組。
ぺちゃくちゃと楽しそうにお喋りしながら、いつしか3人の中で合意したペースを守って歩いているのだ。
毎回、大きな声の小柄な婆が大笑いしているものだから、一際目立っており、両隣の太っちょ婆と眼鏡婆はそれぞれ楽しそうに合いの手を打っている。
傍から見ていて、なんだか均衡がとれているのだ。歩くスピード同様、喋る・聞く・頷く・返すのタイミングが、各自、しっかりと役割を持っているかのように調和されている。
夏前も、この三婆ガラスは見掛けていたけれど、今日は珍しく2人だけ。太っちょと眼鏡婆だけだった。それはそれで楽しそうに会話をしながら歩いていたのだけれど、なにか足りない、なんだかぽっかり空いた真ん中の空間がただの通りすがりの私ですら気になった。
居場所があるっていいなと思う。
小柄な婆は元気にしているのだろうか?この暑さで倒れてはいないか?
あの二人が楽しそうに散歩しているのだから、きっとただ何か予定があっただけだろうと思いたい。
三婆ガラス
