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コインランドリー
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 退職が決まり、さて、今度は夫に伝えるタイミングに悩んでいる。
どう伝えるか。

昨日は洗濯機がおかしくなり、帰宅後の夫に伝えて一通り見てもらうが解決せず。
やはりもう寿命だということで早急に家電量販店へ行き洗濯機を購入しなくてはならなくなった。
しかし、夫帰宅時はもうどこの店舗も閉店時間。泣く泣く今日もコインランドリーを使うことになりそうだ。
パートから帰宅したら、即、洗濯物を持って行かなくてはならない。思いの他、重労働。

 昨日は家族分の洋服や下着、それにタオルを絞って干すの作業。
だが、手絞りには限界があり、しかも天気が悪く部屋干しだったのだけれど除湿器を使ってもまったく乾かない。
それどころかボタボタ水が垂れて、畳がぐっしょりしてしまうので、一面に新聞紙を敷いたけれどそれでも一向に乾きそうもない。
半分湿ったタオルを使い風呂上りの身体を拭いたらとても気持ち悪かった。
家族からも不平不満が出て、しかも翌日のことを考えると私もパートだしということで24時間営業のコインランドリーまで夫に車を出して貰った。


「洗濯機もピンキリだな。」


 乾燥を待つ間、夫はスマホで洗濯機の価格を調べてため息をつく。
私は乾燥機付きのドラム洗濯機に憧れはあるけれど、何十万もする家電なんて夫が買ってくれるとは思えない。しかし、縦型の乾燥機が付いていない洗濯機であっても、十年前は5万円程度で購入出来たのに値上がりしており、こんなところでも物価高を感じずにはいられない。

誰もいないランドリーの中、今、夫に退職のことを伝えようーそう思うけれど、口がこわばり動かない。タイミングがつかめない。
疲れて帰宅し、夕飯もそこそこに車を出す羽目になった夫の機嫌は悪い。口に出さずとも、苛々が伝わるのだ。それにまた余計な出費。

夫の方から私の仕事について聞いてこないだろうか。そのタイミングで伝えたい。

ーあなた、フルタイムの仕事探してる?

ーうん、探してるけれどまだ条件がなかなか揃わなくて。ただ今の会社はやっぱりパートを必要としていないみたいで、日数も減らされるし色々考えて退職することにしたから。

 
 そんなやりとりのシミュレーションをするけれど、なんだかしっくりこない。
夫としては、今の職場で正社員途用を目指すべきだと言っていたし、そうでなくても次が決まってもいないのに退職なんて言えば、考え無しだと怒られるだろう。
憂鬱な気持ちを抱えながら、ドラムの中で踊る洗濯機を眺めていた。







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