アンマッチ

作業場 仕事
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 面接を受けたところは、小さな建設会社。
建物も古く、入り口からすぐは作業所で、いったいどこが事務所なのか判別付かない。
一人、作業着を着た若い男性がいたので声を掛けた。


「すみません、今日、面接に来たものなのですが。」


「面接?ちょっと待って下さい。」


 少しして、眼鏡を掛けた年輩女性が奥から出て来た。
この人と働くことになるのだろうか?年齢的に、私より10歳は上のように見える。
なんだか作業場はがらんとしており、ここで働くイメージがネガティブなものになる。
今の職場が綺麗なオフィスビルなので、雲泥の差。
ただ、見掛けばかり信じてはならない。一番は、自分とマッチするかどうか。背伸びはもうしたくない。自分らしくいられる場所を見付けたい。


 「こちらへどうぞ。」


 女性に誘導され、作業場の奥にある部屋に通された。
そこは応接といった感じで、座りやすそうなソファーが4つにどっしりとしたテーブル。部屋の中の壁には免許証明書等が貼られていた。
少ししてから、社長らしき老齢男性が入って来た。
そして、先程案内をしてくれた年輩女性も。
面接は、この二人が相手となった。


 結果から言えば、アンマッチ。
相手側の求める条件がかなり厳しい。
簡単なPC操作他ーの「他」というのは、資格取得を促すものだったのだ。
それがかなり難関な資格のようで、その勉強は勤務時間外にやるのだと言う。
昼間は簡単な事務の仕事、それは求人通りの内容なのだけれど、主に資格保持者が欲しそうだった。
ならば最初から資格保持者を募集すれば良かったのに。

「すみません。夫が自営業もしているのでその仕事もあって、勤務時間以外に勉強は無理そうです。家のこともありますし。」


「そうですか、残念です。受験費用やテキストなどはこちらで持つことになっていますし、合格すれば資格手当も出しますよ。」


「はぁ。それは有難いお話なのですが・・私には荷が重いので辞退します。」


 甘い話には罠がある。
肝に銘じ、また次の求人を探すしかない。




 
 

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