いよいよ、針金さんと気まずい関係になってしまった。
日曜は、各棟の清掃日。行きたくなかったが、我が家は私担当。
どんよりとした面持ちでエントランスへ行くと、いつものことだけれど、それぞれが輪になって談笑しながら箒を掃いている。
黙々と掃除をしながら、針金さんの姿を目にするけれど、こちらには気付いていない。
楽しそうに誰かとお喋りをしており、もうこのまま私の存在に気付かないでいて欲しいと願う。
30分程で掃除は終わり、委員の伝達事項があるのでエントランス前で集合。
その際、近くにいた針金さんとバッチリ目が合った気がしたけれど、つい反らしてしまった。
委員の伝達はまったく耳に届かず、針金さんの気配にばかりに意識が集中してしまう。
やはり、怒っているのだろうか?
これまでは、向こうから笑顔で声を掛けてくれたのに、完全スルー。空気扱い。
お隣だというのに、この距離感はきつい。
そそくさと自宅に戻る。エレベーターで彼女と一緒になるのが嫌で、階段を駆け上がる。
猛ダッシュで、なんとか先に自宅階に到着。エレベーターが到着する前に家の中に入ることが出来た。
ほっとしたのも束の間、ガクンと気持ちが落ちる。
こんなこと、いつまで続けるつもりなのか?
ーミャ~
温かくなり、最近では窓を開けていることが多く、猫の鳴き声が耳に入る。
それまで可愛く聞こえていた鳴き声なのに、なぜか腹が立ってしょうがない。