JKの我が子。
あれからベッドで安静にしているけれど、微熱程度に下がり食欲も出て来た。
回復が早いのは、やはり若いからだろうか。
それでも、私はやっぱり心配なので15分おきに子ども部屋に様子見しに行くし、またあの恐ろしい痙攣が起きるのではないかと、気が気ではない。
「ママー、お茶。」
「はいはい。」
水筒にお茶を入れ持って行く。
5分と経たないうちに、
「ママー、お茶に氷入れて。」
「はいはい。」
「お腹は?空いてない?なんか作る?うどんどかおじやとか。」
「要らない~。」
ものの10分経たないうちに、
「ママー、お腹空いた。なんか食べる。」
「うどん?」
「気分じゃない。」
「おかゆ?」
「・・・」
辛抱強く待つ。
「うどんでいいや。でも一口でいい。」
「一口?冷凍うどんだから、お椀一杯くらいは出来ちゃうんだけど。」
「多分残すけど、それでいいなら。」
仕方なく、気分じゃないけれど残りは私が食べることにしてうどんを作る。
お椀半分くらいのうどんを持って行くと、
「なんか気持ち悪い。要らない。普通の白いお粥がいい。」
「分かった、じゃあちょっと待ってて。」
こんな時に限って冷凍ご飯がないので、米から小鍋に入れて作る粥。
少量のお粥、ようやく作って持って行くと、子は眠りについていた。
あぁ疲れたと、珈琲を淹れていったん休憩。
「ママ―!!」
口に運ぼうとした途端、お呼びがかかる。
「はいはい、どうした?」
「ポカリ飲みたい。」
冷蔵庫には、OS-1はあるけれどポカリはない。
代わりにそれでもいいか聞くと、
「あれ、しょっぱいから嫌。ポカリの方が美味しいもん。」
仕方なく、コンビニまで買いに行く。
子に渡すと、
「アイスも食べたい。ハーゲンダッツのバニラ。」
「ポカリ買いに行く時に言ってよ・・」
つい私も不満を口にしてしまう。
病み上がり、しかも救急車に乗るレベルの状態になった我が子。
あの意識が無いうつろな瞳で宙を見ていた時ならこの我儘な赤ちゃん返りっぷりでもなんでもいいからいつもの我が子に戻って欲しい一心だったのに。
看病疲れもあり、振り回され続けているこの現状に身体も悲鳴を上げ始めた。
ぐらっと天井が揺れ、尻もちをつく。
眩暈が起こった。
「ママ!どうしたの?」
「ちょっと、眩暈。寝てないからかな。」
なんとか立ち上がり、ふうっとため息をつく。
さすがに心配してくれているかと思ったら、
「ポカリ、こんな味だっけ。なんか不味い。やっぱり甘いものがいい。アイスが食べたい。」
大丈夫?の言葉もなく注文を付ける我が子。
やれやれ、とまだふらつく体を引き摺って、子の言うままコンビニに向かうのだ。
遠い昔を思い出す。こちらのペースはおかまいなしの大きな赤ん坊。
いつ泣くのか分からない、おむつを替えてもすぐまた汚す。寝かし付けてもすぐ目を覚ます。
勿論、母親の家事や休みたいタイミングなんて関係ない。
しばらくは赤ちゃん返りの我が子に私は翻弄されるのだ。