共テの結果は、かなり厳しい。
志望校ではボーダー以下。ここから一発逆転を望むのは無謀だろうか。
泣く泣く、当初予定していた志望校含めた願提する大学はいったんリセット、確実な合格に向けて志望校の練り直しをしなくてはならなくなった。
「で、どうするか・・」
「・・」
余程ショックだったのだろう。泣くのを堪えているのかだんまりの子。
だが、切り替えて受験校を決めなくてはならない。大学によっては出願締め切りがもうすぐそこに迫っているのだ。
最低でもマーチは一変、最高でもマーチに変わってしまった。
だが、子はすっかり自信を無くし、成成明学獨國武だけしか受けないと言い出したのだ。
「なんで!?もう諦めるの?人生かかってるんだぞ!?」
特に、義姉の母校は受けたくないと言う。当初はそれも志望校の一つだったのだけれど、共テの結果では厳しい。
「は!?それでいいの?とにかく受けられるだけ受けて、一つでも受かればいいんだから。」
夫はそう言うけれど、子は首を横に振る。
なんならもう、総合で受かったところでいいと言い出した。
「いやいやいや、ちょっと待って。なんでそうなるの?あのさ、じゃあ学部学科をもっと広げて穴場探して・・」
「・・・」
「一般で受けるのも手だよ。今諦めてどうするの?金ならいくらでも出すんだから。10校でも20校でもいくらでも可能な限り出願しなさい!」
「怖い・・」
「そんなの、当たり前だよ。みんな怖いって。でもやるしかないんだよ。宝くじだって買わなけりゃ当たらないだろ。1枚買うのと100枚買うのだったらどっちが当たる確率が高いか、分かるだろう!?」
「そういうことじゃ・・・ない・・」
俯き、泣き出してしまった。
夫は訳が分からないといった感じでため息を大きくつく。
どうしたらいいのか、だが期限は迫っている。
土壇場でやっぱり受けたいと言い出しても、準備が必要だ。少しでも余裕をもって手続きを済ませたい。
だがそんな親心など子に届かない。子は子で、自分の気持ちが親に届かないことに悲しみと苛立ちを抱いているに違いない。
「ちょっと一晩考えて。明日、もう一度気持ち聞くから。」
夫は冷蔵庫から缶ビールを取り出し、一気飲み。カーっとため息ともつかない大きな声を出すと自室へ引き上げてしまった。
べそをかく子に、私が掛ける言葉は一つ。
「自分が悔いの無いようにね。ただ、学歴は一生ついて回るからね。ママはそれで後悔してる。結婚して主婦になっておばさんになってもね。履歴書の最終学歴はずっとついて回るから。」
子は涙を手で拭うと、返事もせずその場を離れた。
ふと、悔いって何だろうと自問自答する。
受かる確率を高める為、何校も受けてそれですべて駄目だったら?
自分が駄目な人間なんだと一生劣等感を背負うことにはならないだろうか?
受けていたら、受かったかもーそんな余白が実はあった方が良いのかもと思ったり。
私は短大卒なのを後悔しているけれど、一方、仕方が無かったのだとその事実を受け入れることに成功している面もある。
4年制大学の受験について、学力だけではないハードルがあの時代には色々あって、もっと他のやり方だったら合格していたのだーという根拠のない自信に支えられている部分もあることは否めない。
あらゆる可能性、パターンを試した結果、すべてNGだった場合の喪失感。
それは、我が子の今後の人生に果たして良い影響を与えるのだろうか?
答えは出ないまま、時間だけが過ぎて行く。
ボーダーライン
娘