お祭り助っ人

シャボン玉 わたし
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 針金さんにお裾分けをたくさんいただいて、そのついでーという感じでの頼まれごと。
断ることも出来たのだが、仕事がきついこともあり、どこか違う場所に身を置きたいような感じになり、どういう訳かYESと答えてしまった。
町内会の祭りボランティアの助っ人だ。

にしても、なぜOKしてしまったのだろう。
既に後悔でいっぱい。そんなキャパ、今の私にあるわけないのに。

ボランティアの内容は、屋台の店番の助っ人。ゲームなのだけれど、それが当たりかどうかを判断して商品を渡す人に伝えるだけーだと彼女は言った。
どうしても15時~の1時間だけ人手が足りず、その部分だけ穴埋めを頼みたいとのことだった。



 仕事を始めて、自分なりにどこか別の場所が出来たような気になっていた。
でも実際、そこを居場所にするのにはそれなりの努力と積み重ね、それに自信が必要で。
それが一か月経った今も無い。
無能な自分を実感するだけ。

ーここはわたしの居場所じゃないー

 いつものように、お決まりの言葉が浮かんではぐるぐる消化されずに体内に蓄積されていく。
昨日は小川さんが出社していたけれど、先週に中山さんから依頼されていた作業をしてくださいと言われた。
彼女は彼女で、休んで溜まってしまった自分の仕事に集中したいようだった。
例の宿題ー、Excel作業のものは、根底からやり方が違っていた。
朝いちー、中山さんがチャットではなく私の席にやって来て、

「先週の頼んでいた作業ですけど、そうじゃなくてー・・ちょっといいですか?」

 少し苛立った様子で、私の席のPCを操作しながら説明を始めた。
私は謝りながら必死でメモを取り、その様子は隣にいた小川さんにも伝わっていたはず。
彼をこれ以上苛立たせてはならないーと、恥も外聞もなく、説明の途中で質問をした。


「すみません、ちょっといいですか?」


 折角、彼が私の席にまで来て教えてくれているのだから、このチャンスを逃すまいと必死だった。
席を離れてチャットでの説明は、正直曖昧な点が多かったし、それに疑問が湧いても聞くタイミングを取るのが困難だったのだ。


「じゃあ、こんな感じで・・昼までに仕上げられます?」


「はい、頑張ってみます。」



 向いてない―私の能力では。
また、マイナス思考に引っ張られそうになりつつも、作業に集中した。
時間は全然足りなかった。
昼休みも返上ーと思って、休み時間のチャイムが鳴っても作業をしていたら、小川さんが声を掛けてくれて、彼女の同期が待っているのに先に行っててーというような合図を送り、彼女まで昼休みを少し削って助けてくれた。

小川さんの手を借りつつ、締め切り時間を過ぎてしまったけれどなんとか終えた。


ーここは、私の居場所じゃない?ー


 仕事のことをこれ以上考えるのが苦痛で、だから針金さんからの誘いに乗ってしまった。
その日が近付くにつれて憂鬱で、やっぱり熱が出たので行けませんと断ろうかと思ったりしてしまう。
なりたい自分になろうとすればする程、この消耗は何だろう。
つまり、まったく自然体ではないのだ。












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