パジャマパーティー

寝転がる2人の女の子
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「友達の家、泊りに行っていい?」

 突然、子にそう言われて戸惑う。
お盆休み、子は友達とプールやお祭り、花火大会と、色々と出掛ける予定はあるようだ。
そして、その遊びのついでにお泊り。
いったい、誰の家なのか?
友達といっても、小学校のようにクラスメイトを把握していないし、心配だ。
夫に相談ーこんな時は父親の意見を聞くに限る。


「え?パパには適当に言っておいてよ。」


 ますます怪しい。
最近、メイクが濃くなったような気もするし、塾へ行くだけの恰好なのにやたらと前髪のセットに時間を掛けたり着て行く服にこだわったりしているのだ。
早速、夫に伝えた。反対されるだろう前提で。

「あー、あなたがその友達の親に連絡とればいい話なんじゃないの?」


 予想外の返答に、更に戸惑う。
てっきりNGだと思ったのに。


「花子、そういえば友達のところに泊まるなんてこれまで無かったな。珍しい。」


 少し、責められている気がした。
私がママ友付き合いをうまくしていなかったことで、そういう濃い付き合いを子に経験させられずにこれまで来たことを突き付けられた気がした。
しかし、子は自分の力でそういう付き合いを今回得られた。


「菓子折りでも持って行かせて、あなたがちゃんと向こうの親にお礼をすればいいんじゃないの?もう高校生なんだし。」


結局、子に友達の親の連絡先を聞いた。
疑った私も悪かったけれど、本当に女友達のところにお泊りだということが分かり、ほっとした。


「ライン電話でいいよね。ちょっと待って。」


 子は、友達とライン電話をし、少ししてから私にスマホを差し出した。


「はい、向こうのママが出るからよろしく。」


 会ったこともない、子にとっては友達だけれどその親に電話で我が子がお世話になるお礼を言うのは違和感でしかなかった。
しかし、相手は慣れている感じでもあり、また泊まる子は他にもいるとのことだった。
むしろ、私がわざわざ電話をして来たことに驚いた様子でもあった。


「ママさ、過保護過ぎでしょ。皆、そんな電話なんてしないって。」


 自分も経験が無いので、こんな時にどうしたら良いのか分からない。
ただ、失礼にあたるよりも面倒がられる方がマシだと思っての行動だし、夫も同じ意見だった。
本心は、本当に子が友達のところに泊まるのかどうかという疑惑を晴らしたい思いもあった。


「今度、うちに来て貰うこともあるかも。」


 子が呑気にそんなことを言う。
この狭い家の中、いったい誰を呼ぶというのか?
招いてくれた子には申し訳ないけれど、実現しなければいいなと思うのはここだけの話。




 


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隣の芝生
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