キリカエ

スイッチ 仕事
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 やることが無い。
何も置かれていない真っ白なデスクに座り、ただただ時間が過ぎるのを待っていた。
派遣さんが、私の隣で、鬼の形相。
山盛りの資料が雪崩のように私のデスクに流れ込む。
しかし、まるで暗号のように解読不能なそれは、私を追い詰めるのに十分な材料だ。
水筒にこっそり入れたチューハイを飲み、酔っ払う。
いよいよ無駄にポジティブになった私は、逆隣に座る中山さんのやりかけの作業に取り掛かる。
なぜか頭がクリアになり、恐ろしいくらいにサクサク進む。
私、ここで正社員になれるかもー
胸をときめかせたところで目が覚めた。
外は真っ暗。携帯画面を触ると、3:55のデジタル数字が目に飛び込んでチカチカ瞼の裏に残像を作る。



 私はなかなか切替えが出来ないたちだ。
今日から仕事始め。
嫌だ嫌だと寝床に入り、昨夜は殆ど眠れなかった。
正確に言えば、一昨日の晩からよく眠れなかった。
仕事用鞄に、財布やハンドタオル等、馴染みのグッズを入れると、更に憂鬱な気分に全身まるごと飲み込まれた。
しかも生理になり、腹痛も酷く最悪な初日になりそう。
行きたくない、本当に行きたくない。
それに、月曜は祭日だというのになぜか仕事がある。午後出勤。
パートは土日祝日休みの規定だったような気がするけれど、社内全体の大きなリリース案件があるとかで、全社員は勿論のことパートの私も出勤要請がされているのだ。
大して役に立ちそうもないけれど・・

 仕事始めに鬱々とした同志を「X」で見付け、ほんの少しだけ救われる。
私だけじゃない、それにー
元旦から2日に掛けての災害や事故で被害に会われている方々からしたら、贅沢過ぎる悩みだ。
憂鬱な仕事であっても、行ける「体」があること。帰る「家」があること。
「変わり映えのない日常」があること。

感謝しなくてはならない。




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