夕飯時。
何気なく点けていたテレビはどこかの局のバラエティ番組。
テレビにうつるのは、学生達。中学生か、高校生か?
「あ、OO高だ。」
都内にある付属校。その学校名を聞いた瞬間、嫌な顔がすぐに浮かんだ。
スネ夫ママだ。
偏差値は70台越えの、私でも知る知名度の高い学校、そこに彼女の息子K君は合格し、某塾のチラシに掲載されていたことを思い出した。
教室内の生徒達は、誰もが賢そうな顔をしている。予め「偏差値70越えの学校に通っている生徒」という情報がインプットされているせいか、おちゃらけている男子生徒でも、ギャルっぽい女子生徒でも、みんな頭は良いのだなと思うと、そのギャップが逆に地頭の良さと余裕を感じる。
「あ!K君だ。」
子からその名前を聞くのは、いったい何年振り?いや10年以上?もう彼の存在なんてとっくのとうに子の頭から消えていると思い込んでいたのに、心臓がバクバクした。
「ほら、幼稚園も一緒だったK、ママ覚えてる?」
「え?そうだったっけ?花子は仲良かったの?」
「いや、私は全然。友達の彼だった時があるから。」
同中の部活メンバーの一人が、2か月足らずだけれどK君と付き合っていたというのだ。
「あいつ、マザコンだからママにラインのやり取り見付かって、受験だったし別れさせられたんだよね。」
あの人のやりそうなことだ。
息子の恋愛関係に受験だけではなく別の感情も相まって首を突っ込んだのだろう。
「あ!ほらうつってる!」
テレビ画面いっぱいに、K君の顔がうつる。イケメンではないが、中学の頃より更に背が伸び、また日に焼けて、髪も整髪料を付けてセットしているのだろう、今時の男子高生だった。
スネ夫ママの面影は勿論残るが、テレビの中の彼は、育ちの良さそうな好青年だった。
時は流れ子ども達は成長し、親に背を向け希望の未来に向かう。
我が子も今は受験生なので勉強に集中しているけれど、この山を乗り越えて、キラキラした、人生で一番輝ける時間の中にどっぷり浸かって欲しい。
TV出演
