派遣社員

書庫 仕事
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 先日の朝礼時、リーダーが皆の前で紹介したのは、30代半ばくらいのメイクばっちりの女性。
自己紹介の挨拶でも、慣れた感じで堂々としており、いかにも仕事が出来る風だった。
彼女は、派遣社員だ。
年末の、こんな中途半端な時期に入って来るとは何か事情があるのだろうか。

 この職場は、私を除いて全員社員。私はお試し要員で初アルバイトとして採用された。
半年が経ち、中山さんから仕事を直接振られるようになり、あまりの出来なさに休職していたけれど、この間から復帰したところ。
退職したいと訴えたことで、仕事の負荷は下がったように思う。
最近では本当の意味での雑用ばかりで重要なデータを取り扱う仕事は激減した。
ひたすらコピペ、書類のPDF化、ファイリングやコピー取り、シュレッダーや社内便を開封して担当チームに渡したり、または会議用の資料をホチキス留めする作業等。
中山さんは相変わらず隣の席で、目に見えない圧を感じるけれど。
ようやくプレッシャーから解放されてほっとしたところ、新人として彼女が仲間入りしたのだった。

 初日から、彼女の仕事ぶりは誰が見ても分かるくらい凄かった。
与えられた指示は、的確にこなす。
以前の私のように、小川さんの隣に彼女が座り社内のOJT的なものを受けていたようだが、その小川さんが困惑するくらいに作業スピードが速い。


「え?もう終わったんですか?ちょっと待って下さいね・・えっと・・」


 そんな声が嫌でも聞こえてくるのだ。
指示を出す方も、ついていけない感じ。
そして、自ら仕事を見付けるのだ。それは、私がやってと頼まれていた雑用。
シュレッダーもいつの間に片付いている。その横には使われない段ボールが散乱していたはずなのに、紐でくくってまとめたのも彼女だ。


「この書類は、どこかに片付けますか?」


「あ、時間がある時やろうと思っていて。書庫に入れないとならないので年度別にしないとでここ数年整理出来てないんです。」


「やりますよ。ラベリングもしたいのでネームランドを貸していただけませんか?」


 コピー機の前にいたので、彼女らの会話が聞こえてくるのだ。
PCスキルもありそうだし、電話応対も慣れている。
そしてそれは私の心をざわつかせるのに十分な材料となり、再び仕事に行くのが憂鬱になってしまった。




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