入院中の義父の容態が悪化した。
しかも、検査結果もだいぶ悪い。もしかしたらーを覚悟してくれと医師に言われた長女は、電話口で大騒ぎしていた。
「ママはまだ何も知らないから。言ったらパニック起こすから、絶対このことは内密にね!」
どうなるのか、誰にも分からない。ただ、それは今日かもしれないし明日かもしれないし一年後かもしれない。
ふと、喪服のサイズが微妙だったことを思い出した。最後に着用したのは法事の時で、その時は閉まらないファスナーを無理やり閉めようとしたらホックが壊れ、安全ピンを使ったのだ。それもだいぶ前。あれから更に5キロ以上は太った。しかもあの喪服は20代の時に買ったもので買い替えのタイミングを逃して今に至る。ボレロタイプのもので、リボンが付いている若向きのもの。
クリーニングに出して、押し入れに入れっぱなしのそれを風通しした。
ホックは壊れてそのままだが、なんとか着れるかもーそう思ったのだけれど、実際、着てみたらファスナーどうこうの問題ではなく、全体的にパッツパツで見苦しい。
鏡の前に立ち、全身を写す。肩パットが妙に古臭く、シルエットも今の時代にそぐわない。
この際、買い替えるか。
50代になり、葬儀の機会がこれから増える。しかも親の葬儀。なのできちんとしたものを準備しておかないと。パールのネックレスより何より、そちらの方が大事だ。
早速、インターネットのフォーマル服サイトを開き、喪服を探した。安いものでも1万円以上はするし、それ以下だと画面上で見る限りペラペラで安っぽい。色味が分からないので、実際、店舗まで見に行った方がいいかもしれない。最低2万~5万円。それが相場といった感じだった。これからの人生、何回着用するのだろう。
まだ起きてもいない不幸の回数を数えてみる。なんだか縁起が悪い。
新聞の折り込み広告に、フォーマル服の半額セールのチラシを見付けた。駅前のショッピングモールに入っている店だ。
取り敢えず、この店に試着をしに行こう。
喪服準備
家族