職場の昼休み、朝寝坊をしてバタバタだったので弁当の準備が出来なかった。
コンビニへ行き、だがなんだかんだで500円以上掛かってしまうので、マックへ行くことにした。
いつものマックチキンセットをオーダー。
昼のマックは混みあっているが、おひとり様のカウンター席はポツポツと空いていた。
目に付いた席に座り、ほっと落ち着く。
職場は相変わらずのアウェイで、やはり必要以上の会話はなく。
与えられる仕事も、タイピングさえ出来れば良いレベルのもの。
美味しい仕事といえばその通りなのだけれど。透明人間になり続けることは、メンタルがどうしたって削られる。こういう扱いには慣れて来たはずだと思っていたのに、老いていくことで心が弱っているのだろうか。
ポテトを半分くらい食べた頃、隣に座っていた男性サラリーマンが席を立った。
何気なくそちらに視線を向けると、向こう側に見覚えのあるこげ茶のジャケット。
その横顔にはっとする。佐藤課長だ。いつからそこにいたのだろう?
私が座る前か後か、のんびり珈琲を飲みながら、窓の外を眺めつつスマホを手にぼーっとしていた。
ふいに、こちらを向きかけた気がしたので、慌てて正面を向き、バーガーに食らいつく。
気付いていませんよオーラを全面に出す。だが、途端に不安に襲われる。
こういう時、挨拶をすべきかどうかについて。
だが、挨拶をしてからのことを思うと何が正解なのか分からなくなる。
一つ分空いた席の向こう側、微妙な距離感。
だからといって隣に座り話し掛けるだけのコミュ力はない。
それに、昼休みは完全プライベートで職場のことなんて思い出したくない時間かもしれない。
パートの、しかも普段はまったく関わりのない人間から話し掛けられたとして、困惑より迷惑が先に立つかもしれない。
そして、こういう時に限って、空いた席が埋まらない。
「お疲れ様です。」
ふいに、向こう側から声がした。
佐藤課長が私に声を掛けたのだった。
「あ、あぁ!お疲れ様です。」
今、初めて気付いたような顔を作るけれど、うまくやれただろうか。
ワザとらしい下手な演技。
しかし、その後に続く言葉が浮かばず、佐藤課長は再び視線を窓の外に向けた。
スマホを触るでもなく。沈黙が続く。
席は埋まらない。1~2分の間。だが体感では15分くらいのその気まずさをひたすら耐えているうちに、彼女の方が先に席を立った。
「では。」
颯爽と、綺麗に折りたたまれたバーガーの包みが乗ったトレイを手に、その場を離れた。
軽く会釈を返し、だが彼女が去った後、何か落ち着かない気持ちでポテトを口に運ぶも味がしない。
チャンスだったのかもしれないのに。
軽く雑談し、同世代だしもしかしたら何かしらの共通点があったりして、打ち解けられたかもしれないのに。
そうなれば仕事だってやりやすくなるうえに、契約だってもしかしたら延長して貰えたかもしれないーなんて不毛な妄想までしてしまう。
いい大人なのに、気の利いた雑談も出来ない自分が情けない。
気まずい沈黙
週3パート事務