針金さん宅から漂う、洗濯物の臭いがキツイと夫が言い出した。
猫の鳴き声はいつしか気にならなくなっていたし、祭りもなんとか無事に終わり報酬を得たところ。
臭いについては、主観があると思う。
こちらが臭いと思っていても、使用している側は心地よい香り。
確かに、エレベーターで我が家の階に着いた途端、自宅玄関が近付くにつれて独特な香りがするとは私も思っていた。いわゆる、柔軟剤の香りだ。確かにそれは人によってはきつく感じるだろうけれど、生ごみや腐敗臭やトイレやドブといった耐えられない臭いではなく、むしろそういう臭いを消す為のコーティングにもなり得る種類のものである。勿論、フローラルやローズのような甘ったるい香りや柑橘系など、その種類によっての好き嫌いは分かれるだろうけれど。
「確かに、におうけど。耐えられなくはないよ?」
「いや、臭い。タバコ吸ってても、臭いが鼻について不味くなる。」
夫は、想像力が足りない。何でも自分中心。
普通、タバコの煙の臭いの方が迷惑だし臭いし害でしかないと思うのだけれど。
「でも、タバコの煙のことでお隣から注意されたことないし。」
「・・・嫌味かよ。」
夫はブスっと不貞腐れ、ため息をつくと自室へ籠ってしまった。
―子どもかよ。と内心、こっちがため息をつきたい気分。
転職エージェントとは、あれからどうなったのか?
夫のスマホを覗きたい気持ちもあるが、なかなかそのチャンスが訪れない。
トイレや風呂場にまでスマホを持ち込むことが増えたからだ。
昨夜は、私の手料理が気に入らなかったのか、なんとなく箸をつけつつもちょい残し。
ストックしていたカップ焼きそばを手に取ったのを見てイラっとした。
昔の、手作り何品もの欲求は減ったものの、仕事帰りに疲れながらもなんとか作った手料理よりも、体に悪いただお湯を注ぐだけで完成するジャンクなものを欲している目の前の男が、何とも安っぽく惨めで情けないものに思える。
それでも、夫の食べ残しを三角コーナーに捨てるその時は、感情を押し殺す。
そして、言い聞かせる。
捨てているのは、食べ残しじゃない、全部全部たまったストレスー・・仕方がないこと・・
だが、パートナーにだって心はある。
だから明日の晩御飯は、カレーライスに決めた。
夫のストレス・過敏症
夫