一人っ子親としてのジレンマ

猫と洗濯物 わたし
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 もう何度も何度も、一人っ子親としての云々については言われて来たし、子も高校になったことでママ付き合いも薄くなり、ようやく解放されたかのように思えた一人っ子親としてのジレンマ。
油断していたところ、久しぶりに、グサッと刺さった。

保護者が集まれば子どもの話

 PTAの集まりへ行って来た。
基本、出られる人だけーというお約束。
面倒だったけれど、吉田さんとあの狭い事務所で気まずい時間を過ごすことを考えたら、こっちの方が楽。
まさか、今になって学校行事の方が楽だなんて思えるとは。
幼稚園~小中学校とは違うコミュニティ。
方々から集まる生徒の親達。



皆、殆どが仕事を持ち、また年齢的に介護をしていたりと日々慌ただしく、子どもが小さい頃のような粘着質を持ったママ付き合いをしている余裕は無いのだろう。
それに、親と子の付き合いが完全に分離されていることも然り。
親同士、うまくやらなければ子どもがハブられるーとか、誘われない、家に上がらせて貰えない、長期休み親子共々遊びに行けない等々。
今思えば、幼稚園~小学校時代は地獄だった。
私のせいで、子に思うような友達付き合いをさせてあげられなかったのは、今でも申し訳なく思っている。



「お子さんは、ご兄弟は?」



 作業をしながら、何となくの質問を誰かが投げ掛けた。
私の隣に座っていた人が、なんと「7人」と答えたのだ。
もうそこからは質問責め。
上はもう子どもを産んで実はばあばーとか、下の子はまだ小学校低学年だから今日は学童に預けて来たとか。



「毎日大変でしょう~洗濯物とか。」


「まあでも慣れますよ。ただ今の時期は流石にキツイけど。」


「ですよね~」


「でも、上の子が下の子見てくれるし、楽っていえば楽ですよ。子ども同士で遊んでくれるし。留守番させても寂しくないし。」


「でも、お金掛かるし大変ですよねー。本当、子どもっていまや贅沢品って言われるし。」


「今は敢えて、一人っ子選択ってご家庭も多いですもんね。昔は、一人っ子可哀想とか色々言われてたけど。うちは2人だけど、今だったら絶対一人にしたな。」


「子どもが一人だったら楽ですよね。お金の面もそうだし、時間だって自分に掛けられるし。私も一人っ子の親だったらって何回妄想したことか。」


 彼女達は、ペラペラ好き勝手話しているけれど。
この中に「羨ましい一人っ子親」がいるかもしれないーなんて想像力が働かないことに理解出来ない。
確かに、一人っ子と複数子では人生で掛かる教育費が格段に違う。
彼女らが子ども達に掛ける分の費用を自分達の老後資金に回せるのだ。
政府は躍起になって少子化対策をしているが、それでも子ども一人育てるのに莫大な費用が掛かる。


そして、いつ自分が質問されるのかーと思うとドキドキした。
だから、自分から暴露した。


一人っ子ではなく一人っ子親のネガティブイメージ

 

「うちは、一人っ子なんですよ。だから皆さん、尊敬します。」


 え?っというような、明らかに気まずそうな表情を浮かべた数人の親達ーだが、それを取り繕うかのように言葉を続けたのは、7人の子どもがいる親だった。


「いやいや、子どもの数なんて関係ないですよ。
むしろ、私は一人っ子のお母さんの方が大変だなって思います。
だって、その子だけに集中するって逃げ場がないですもん。私みたいにね、何人も子どもがいると雑になるっていうか、まぁいっかって感じで適当なんですよ。
子どもの勉強だってロクに見て来なかったし、喧嘩したり学校で問題起こしても、あー、またかって感じで。」


「分かる分かる!うちも3人男子だから、もうどうでもよくなりますよね。」


「私なんて、参観日よく忘れちゃう。間違えて小学校なのに中学校行っちゃったり。」



 彼女らが盛り上がる中、なんだか後ろめたいような微妙な気持ちになった。
だって、彼女達は本心ではないから。
絶対に、自分の方が家事も育児も何もかも大変だと思っているだろうし、実際にー、物理的にその通りだ。
何にどれだけ手を掛けるかについては、もう個人的な評価だし、傍目からしたらどうしたって一人っ子親の私はお気楽で、いくら子どもが高校生になったからといって、母親スキルは彼女らから見たら初心者マークを引っ提げているようなものなのだろう。

 なんだか居たたまれなくなり、その後は会話に入ることが出来なかった。
一姫二太郎ーじゃないけれど、いまだに子どもは二人以上が理想という謎の風潮が、一人っ子親の肩身を狭くさせている。





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