引きこもっていた夫。
翌朝、流しに麻婆豆腐を食べた後の皿や茶わんが置かれていたので、部屋から出て深夜に食べたのだろう。ついでに空になった缶ビールも数本あった。
夫なりに、ショックだったのだろう。
義父に相続の件で心変わりされたのも、三女から同居を拒絶されたのも。
三女が発作で救急車で運ばれた時は、本当に心配していた。以前、子が倒れた時と同様に、家族の安否をひたすら祈るような必死の形相。そこに嘘はなかった。
ぽろっと、三女が一人になったら心細いだろうから、いずれは同居も考えているといったようなことを口にしたこともある。勿論、私は内心では嫌な気持ちだったけれど、否定もしない代わりに肯定もせず有耶無耶にし続けて来た。
メンタルが心配な姉を思う気持ち、そして一番年の近い姉だから、どちらかといえば対等で何でも言い合える関係の夫と三女。一方で、姉であり妹のような存在なのかもしれなかった。
兄弟を思う気持ち、それは私にだって少しはあるから分かる。
困った弟であっても、いずれ両親がいなくなれば気を掛けなくてはならないとも思う。
勿論、血を分けた兄弟だからといって、犯罪を犯したり借金やギャンブルばかりで迷惑を掛けられたら縁を切るが、そうではなく、病気や何かしらのトラブルに巻き込まれたと知れば、手を差し伸べざるを得ないだろう。夫もきっとそういう気持ちだったのだ。
なのに、一方的に拒絶ーしかも全部の兄弟から。3対1の攻撃。これまで末っ子長男でちやほやされ可愛がられて来たからこそ、このギャップに耐え切れない。
「パパ一人だったら、良かったんじゃない?」
子に相談したら、目からうろこの答えが返って来た。
他人がいるからー、要するに、嫁がいるから同居は無理!ということなんじゃないかと。
そりゃ、そうだ。
なぜそんな当たり前のことに気付かなかったのか。
なんだか妙に腑に落ちた。
