子の後期の学費を納入する。
残りは80万円に満たない。私も週3パートでヒーヒー言ってる場合じゃない。
そんな折、夫が子の口座にはいくら残っているのか聞いて来た。
素直に答えると、まあそんなものだろうといった表情と共に、いったんそれを回したいと。
すぐに返すからと。
は?これは子の学費のお金で、むしろ2年目の授業料を支払ったら足りないくらいで。なのに何を寝ぼけたことを言っているのか?と思い、私の中で何かがプツリと音を立てて切れた。
「それは無理。だって、お義父さんから花子にいただいた分だってあなた戻さないままじゃない。これは絶対駄目。」
「いや、だからすぐに戻すって!」
「信じられない。戻すっていつ?」
「だから来年には・・なんなら奨学金だってあるし。教育ローンだって・・」
プライドがエベレスト級に高い夫の口から、我が子に奨学金を背負わせようなんて言葉が出ること。父親として情けないし憤りがわいた。
「奨学金は借金だよ?それを花子に背負わせるの?」
「もう、成人だろ。」
「あなただって、両親に学費出して貰ったんでしょう?それなのに・・」
「いや、奨学金だって俺らが借りる体で言ってるんだよ。花子に返済させる訳じゃない。表向きだけだって。」
「でも、花子が借りる事実は変わらない。そういう問題じゃない!」
「しょうがないだろう!?俺だって好き好んでこんな話してる訳じゃないんだよ!じゃあ廃業してもいいのかよ!?」
日々の忙しさに、もしかしたら・・と過る瞬間はこの数年、何度も何度もあったのに、いざそれを実際に耳にすると、頭の奥がじんじんと痺れ、と同時に油断すると得体の知れない黒い闇に引きずり込まれるような恐怖に足が竦む。もう何度目のチャレンジなのか、資格試験だってまだ通らない現実。最近の奇行の数々。ヒントはいくらでもあったのに、見ないように触れないように、問題を先延ばしにして来た私にも責任があるのだ。
それでも、我が子のお金に手を付けること、それだけは譲れない。
「今後のこと、考えよう。お金のこともだけど、お互いに仕事のことも。」
夫婦の間に鎮座していた一線、それを越える時が来た。
お金の話
お金