激安スーパーでは、月に一度お客様感謝デー的な催しが行われており、目玉商品がずらり。
物価高の今、本当に助かるイベントで、ここ最近は平日のそれということもあり、パートと被っている日が多く参戦出来なかったのだけれど、今月はラッキーなことに休みの日。
いざ、戦闘開始!とエコバッグを何枚も持ち出掛けた。
店が見えたところで、大勢の客。店の外にまで長蛇の列。自転車置き場も入りきらない状態で、仕方がないので近くのドラッグストアに停めさせて貰い、後でこちらでも何かを買うことにした。
キャベツが150円!レタスは100円!!そしてリーフレタスは60円!野菜不足に悩んでいた先月。葉物がすべて安くて嬉しい。ほうれん草やトマトやきゅうり、フレッシュな野菜をかごいっぱいに入れる。肉や魚もざっとみてまわり、g65円の胸肉やg88円のぶたコマなど、とにかく100円を切る肉類をかごに入れ、それから魚と目を走らせるけれど、こちらはそんなにお得ではないので諦めて。他にいつもの牛乳や卵や豆腐やちくわなど、アドレナリンが出ているせいか、かごの持ち手が腕に食い込んでいるのに痛みはまったく感じなかった。
はーっとため息で列に並ぶ。まるで、ディズニーランドのアトラクション待ちではないか。ざっと20分待ち?というところだろうか。激安スーパーは地元のスーパーでレジも二つしかないのだ。
「ここ、とっておいて下さる?」
母世代のおばあさんが、私の背後を指して言う。
え?っとこちらが対応する間もなく、さっさと店内に消えた。何?
列の半分過ぎた頃、私の後ろには30人くらいの客が並んでいた。さっきのおばあさんは悠長に品定め中。なんだか嫌な予感。
レジが見えて、私の前には5人程ーといったところでおばあさんがかご一杯の荷物を持ってやってきた。
「あー、重い、重い。よいしょっと。ありがとうございます〜」
私に向かって言うおばあさん。思わず振り向くと、おばあさんよりもその後ろにいるおじさんと目が合った。
は!?っと眉間にしわを寄せた顔。その後ろもまた後ろも。彼らからしたら、いきなり横入りされたものだからそりゃあイラっとするだろう。
おばあさんはそんな彼らのイラつきなどどこ吹く風で、私に何度も感謝の言葉を述べる。おじさんは今度は私の方を見て、どういうことだ!?といった顔。
「ちょっとちょっと!ここ、並んでるんだけど!!」
おじさんは、堪らなくなったようにおばあさんに向かって大声で怒鳴る。だが、おばあさんは耳が遠いのかピンときていないのか図々しいのか、私とまるで知り合いかであるかのように首をかしげつつ、
「ほんとに、助かったわ。こんなに安いとあれもこれもってね、買いたくなっちゃってね。年金暮らしだしこの物価高でしょう、だから今日はたくさん買わないとって思ってねぇ。でも、腰も痛むし買い物も一苦労。」
「あのさ、みんなちゃんと並んでるんだよ!困るよ、横入りされたら!」
「あら?私はこの方にちゃんとお願いしましたよ。」
「えっと、やっぱりちゃんと並んでいただいた方がよいかと・・」
「え?ちょっと無理よ無理!こんな重たいの持って今から一番後ろに行って並ぶなんて無理!!」
「みんなちゃんと並んでますよ!!」
おじさんの後ろの女性も、イラっとした様子で声をかけた。だが、おばさんは私に助けを求める。
「だってねぇ。あなた取っててくれたものね。ありがとうねぇ。」
認知症だろうか?こうなると今度は皆の苛つきの矛先が私に向かう。
あーもう、面倒臭い。
「分かりました、じゃあ私が抜けますからここどうぞ!」
一人分、私の席を譲るということでどうだ。巻き込み事故にうんざりしつつラチが明かないのでおばあさんに私の場所を明け渡した。
「あら。そんなそんな・・」
おじさんや女性は、ならまあいっかといった顔でスルーを決め込む。私は買い物かごを手に、列の一番後ろに並ぶのも気まずく、もうその場を離れたい思いで、かごの中の商品をすべて元の場所に戻し、そそくさと店を出た。
結局、ドラッグストアで時間を潰した後、列に並んでいた客はもういないだろう時間に戻り、買い物をし直した。
だが、私が買いたかったレタスやキャベツは売り切れで、残りものを買うしかなかった。
あのおばあさんが憎たらしくて仕方がない。結局、言ったもんやったもん勝ちの世の中かよーと思ってしまう。
