思い出の不用品

かき氷 生活
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 ふと、思い付きで家の片付けを始めた。
パートをしている時は、家の中のごちゃ付き具合が気になりながらも、日々の家事で精一杯。
久しぶりの大型連休、やるなら今。
大掃除とまではいかないけれど、不用品を捨てて家の中をスッキリさせようと思ったのだ。
要らないものは、3人家族であっても盛りだくさん。
洋服だけではない、雑貨や日用品等。いつか使うかもーと、何となく押し入れに追いやった物たち。

 夫はネットショッピングが大好きで、酷い時は2日にいっぺんは宅配物が届く。
趣味のものだったり洋服だったり、何にいくら使っているのか分からないけれど、ゴルフの趣味が増えてから更に酷い。
子も、高校生になりやたらと身に付ける物を買いたがる。メイク道具を始め、新しい服がどんどん増えて行く。
結局、私以外の2人の物で家の中はごったがえし、息が詰まる。
さすがに、2人の物は勝手に捨てる訳にいかない。ただそれらを置くスペースを確保する為に、整理する必要があるのだった。


 すっきり片付いた綺麗な部屋に憧れる。
まずは倉庫をすっきりさせて、スペースを確保しよう。
そう決めたら、大きなポリ袋に、使わない物を捨てて行く。
壊れて使えなくなったガラクター、劣化で動かないハンディータイプの掃除器具やミキサーなどのキッチン用品。
その中に紛れ、かき氷機や流しそうめんセットが出て来た。
もう何年も使っていないけれど、子が小学生くらいまでは毎年出していた懐かしい物。
すっかり埃をかぶっていたし、そのまま袋に入れようと手に取ったら、これもまた思い付きで気付くと流しで綺麗に洗う。
どうせ捨てるのなら、もう一度使ってから捨てよう。

 
子が子どもの頃、よく食べていたブルーハワイ。
スーパーまでシロップと素麺を買いに行った。
今日は、子が珍しく家にいる日だったので、早速、お昼に流し素麺。
流しそうめん機に乾電池を入れた。ウイーンと音がしてから、ゆっくり水が流れた。

「何、それ?あ!懐かしい!」

 部屋から出て来た子が、ちょっとだけ興奮したような声を出す。

「今日のお昼。捨てようと思ったんだけど、懐かしくなってね。」

「へー。いいじゃん。」


 茹でた素麺を入れると、ところどころ麺がつっかえるポイントがあるのすら懐かしい。
それをほぐしてまた流してー、なんだか楽しくなって来た。
いつもはそんなに食べない素麺なのに、食べ方を変えるだけでなんだか美味しく感じる不思議。


「ねえ、捨てなくてもいいんじゃん?」


 食後に、冷たいものばかりだなと思いながらもかき氷も作った。
ブルーハワイのシロップを掛けた、かき氷。家で作るそれは、氷も雑な感じなのだが、それがまた良かったりもする。


「おかわりしちゃお。」


 素麺も、かき氷も、お替りをした子。
さすがに子どもの頃のように、食べた後に青く染まった舌をベロンと出して見せたりはしなかったけれど、癒された時間。

 結局、この2つの不用品は来年まで持ち越し。
いつか本当に捨てる日が来るその時まで、おやすみなさい。






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