同期と雑談

トイレ 週3パート事務
週3パート事務仕事
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昨日の出勤日。9000円の時間の切り売りと割り切り、いつも通り作業をしていた。
2画面のExcelを開き、一方のデータをコピーし、それをもう一方のExcelブックにペーストする。
与えられた紙の束。その一件一件の数字を、手入力する。最後に、整合性のチェック。
それを延々と繰り返す。
この作業も、A課にいた時は花山さんに手取り足取り教えてもらい、それでもなかなか手順を覚えられなかったり、また計算式を壊しそうになったりと大変だったのだけれど、何度も繰り返すうちに、ようやくノートを見ずに出来るようになった、この職場で唯一自信を持てる作業。
ただ、これはA課の仕事だったのでは?と思う。私、B課に異動する意味あった?と。
A課で花山さん達の楽しそうな笑い声が聞こえる度に、なんだか島流しにあったような気分になるし落ち込んでしまう。
本当に、私は幼稚だ。
何をしにここに来てる?稼ぎを増やすため。事実、週1の午前だけなんて子どもの小遣いにもならない稼ぎにあんなに不満を持っていたはずなのに。
大型連休などあれば、月に3万にも届かない稼ぎだったのだ。
それがここでは3倍以上。ただ黙って作業をする、それだけのこと。

「パートさんに、これもお願いして。」

 佐藤課長が、直接私ではなく部下に話し掛ける。
その部下も、

「A課でやっていたから分かりますよね、お願いします。」

 それだけ。
この課の誰とも目が合わないし、声も掛けられない。
孤独や疎外感には昔から慣れて来たはずなのに、なんだろう。
A課でちょっと人間関係のすったもんだがあったことで、それは悩ましいことも多くあったのに、ある意味で刺激だったのか?
ジュウシマツなどの小鳥は、他の鳥の鳴き声を聞いたり自分で鳴き返したりしない環境にいると、脳のさえずるための神経が衰え、上手に鳴けなくなるという。
人間も会話がない生活が続くと、脳の前頭葉が萎縮し、言葉がパッと出てこなくなったり他人の感情を読み取る力が衰えたりする。
現に、トイレで花山さんに声を掛けられた時、声が裏返りかみまくってしまった。

「お疲れー。どう?慣れた?」

「あ、ああ、お疲れ様。ま、まだちょっとあんま分からないけど。」

 花山さんのきょとんとしたような、不思議なものを見る視線。
きっと私の挙動がおかしいのだろう。そう思うと更に言動がおかしくなってしまう。

「仕事、きつい?」

「え、ああ、仕事は前と同じこと・・同じ?ような作業かな?作業をさせていただいているけれど、とにかく量が多くて。」

「あー、あの作業、眠くなるよね。あれ、大嫌い。意識飛ぶよね。」

「そ、そう!それが辛いかな?でもそれより・・」

「あ、ごめんね。米田さんとか待たせてるから~またね~」


 ランチの時間だったので、話途中で私の元を去っていく彼女。
誰とも話せないストレスを打ち明けようかと思ったのに。あわよくば仕事帰りにお茶でも誘おうかとすら。
同期でこの職場では唯一愚痴を吐ける相手なのに、またここで疎外感。
それでも、彼女とたった数分間雑談出来たことは、私の心の砂漠に水分が通ったかのよう。
持参して来たおにぎりを持って、今日はどこで食べようか。ふらふら外を彷徨うことで気分転換を少しだけはかるのだ。


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