恋ーではない。
だが、気になる人。
彼が、プリントアウトした用紙を取りに席を立つ度に、そわそわドキドキしてしまう。
気付けば、目で追ってしまう。
馬鹿みたい。
まるで欲求不満のアラフィフおばさんではないか。
昼休み。
皆、バタバタとランチに外へ出たり休憩室へ向かう中、丸さんはいつもデスク上で愛妻弁当を広げて食べる。
私は、花山さんからの誘いもなかったので、持参して来た弁当をランチバックに入れ、外へ出ようと支度していた。
「丸さーん、ちょっとだけいい?」
課長と部長に呼ばれ、箸を既に付けていたのだろう彼は、口いっぱいに何かを頬張りながらフロアの外に出て行った。ここの社員ではない協力会社の人なのに、昼休みすらまともに与えられないのだ。
ちょっとの邪な気持ちが芽生える。別に、そこを通らずとも外に出られるのに、敢えて遠回りをして彼のデスク前を通り抜けることにした。ゆっくりと。
そうして、彼のデスクをまじまじと眺めた。
子ども?の描いた絵だろうか。それが小さな額に入れられ飾られている。
年齢にして、幼児の画。だが彼の年齢からすれば、大学生や成人の子どもがいてもおかしくはない。遠い昔、プレゼントされた画だろうか?
そして、蓋が空いたままの弁当箱。まだ、食べ掛けのそれは、顔も分からない彼の妻が誇示する、この職場での圧倒的な存在感。
ピーマンの肉詰めがちらっと見えた。もうそれだけで、あぁ、それだけで垣間見える夫婦関係。
だって、冷食にそれはないから。唐揚げやミートボールなら、冷食だろうって思えたけれど。
すーっと心が醒める。
馬鹿だね、私。
気になる人のデスク
週3パート事務